2023.7. 3在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

地主 拓未さんが国際会議ALPS2023でStudents Awardを受賞

4月18日~21日、パシフィコ横浜で開催された国際会議「The 12th Advanced Lasers and Photon Sources,ALPS2023」において、地主 拓未さん(大学院修士課程 電子・光工学コース 2年・大阪府立挟山高等学校出身/指導教員:光制御・ネットワーク研究室 小林 弘和准教授)が、The Best Students Poster Paper Awardを受賞しました。

★8B0A4837.JPG ★8B0A4802.jpg

受賞タイトルは「Two-Photon Phase Singularity via SPDC Pumped by Higher-Order Laguerre- Gaussian Beam with Radial Mode(動径モードを有する高次ラゲールガウスビームをポンプ光としたSPDCによる2光子位相特異点生成))」です。

地主さんは、「量子もつれ」とよばれる現象を光子の伝搬と関連づける研究をしています。「量子もつれ」とは、2つ以上の量子(電子、陽子、中性子、光子など)が強い相関をもつ状態のことです。例えば、2つの量子がそれぞれ上向きスピンと下向きスピンの「量子もつれ」を起こしているとき、一方のスピンの向きが変われば、瞬時に他方のスピンの向きも必ず変わるというものです。

★Picture1.png
同会議では、量子もつれ状態の2光子を伝搬する際に発生する位相特異点の原理について報告しました。ラゲールガウスビームと呼ばれる多重円環の光強度分布を持つ光を入射光とし、特殊な結晶を通して量子もつれ状態の2光子に分解、それぞれの光子の伝搬距離ごとの位相を決定します。このとき、ある伝搬距離では、2光子の存在確率がゼロとなり位相が不確定となる位相特異点が現れることを発見、その原理を明らかにしました。 位相特異点では一方の光子が存在する位置ではもう一方の光子が存在しません。これは、量子もつれを利用して光の伝搬をする際、2光子が存在することを禁止する特定の距離があることを示すものです。また、位相特異点の次数がラゲールガウスビームの円環数に比例することも明らかにしました。
本研究が発展すれば、新しい量子もつれの検証や、伝搬距離の精密測定への応用が期待されます。

受賞を受け、地主さんは「名誉ある賞を受賞することができ光栄です。ご指導いただいた小林先生をはじめ、研究室の皆様に深く感謝いたします。初めての国際会議出席で緊張しましたが、さまざまな質問やご意見をいただき刺激を受けました。今回は理論計算とシミュレーションによる解析のみを行いましたので、これからは、実験と検証に取り組みたいです」と語りました。

RELATED POST

関連記事