2023.9. 6学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

林正太郎准教授らの研究グループが、多光子顕微鏡技術を利用し結晶の非破壊な3次元観察を実現することに成功

理工学群の林 正太郎准教授、山口大学大学院創成科学研究科(理学系学域)化学分野の鈴木 康孝准教授らの研究グループは、多光子顕微鏡技術を利用し結晶の非破壊な3次元観察を実現、弾性結晶の機械的操作で内部発光が起こることを発見しました。

図1.png

(結晶の多光子顕微鏡像)

分子結晶は、電気伝導性、磁性、光物性など多彩な機能を持つ材料で次世代のフォトニクス・エレクトロニクスを実現するキーマテリアルです。この分子結晶の3次元的な内部情報を取得することは、マテリアルの性質を理解する上で重要ですが、そのような情報を取得し結晶内部の状態や機能を明らかにすることは今までできていませんでした。そこで、林准教授らの研究グループは、発光する弾性結晶を対象に多光子顕微鏡を用いて、世界で初めて分子結晶の内部情報の取得に成功しました。このことにより、結晶表面と内部では明確に性質が異なり、発光性結晶は表面で強く光ることが明らかになりました。また、結晶を機械変形させると内部にストレスがかかり、発光を誘起するという事実を発見しました。この結果は、多光子顕微鏡が固体材料、分子結晶を元にしたデバイスの新しい評価手法となることを明示しています。
この成果は、2023年8月9日に学術誌Langmuirに掲載されました。

★林先生写真.jpg

林准教授は「本研究は研究者間の複雑な関係性の中で発生した"縁"が点と点でつながった成果です。およそ分子結晶の観察に使うという発想もなかった多光子顕微鏡を利用し、材料の本質に迫れる可能性を示したという観点で、この論文は想定以上の価値があります。今後も積極的に山口大学との連携を強め、強固な研究ネットワークを構築していこうと思っています」と語りました。

【原論文情報】
タイトル:Noninvasive Three-dimensional Assessment of Single Molecular Crystals Using Multiphoton Microscopic Observation and Their Deformation-induced Emission Characteristics(多光子顕微鏡を利用した単結晶の非侵襲的三次元評価と変形に伴う発光の特徴)

著者:Yasutaka Suzuki, Satoshi Koga, Kana Kitaura, Jun Kawamata, Keigo Yano, Norihisa Hoshino, Tomoyuki Akutagawa, Shotaro Hayashi

掲載誌:Langmuir

掲載日:2023年8月9日

DOI:10.1021/acs.langmuir.3c01030

プレスリリースはこちらから

RELATED POST

関連記事