2023.10.24在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

池田 浩貴さんが有機コヒーレントフォトニクス研究会で優秀学生発表賞を受賞

9月29・30日に開催された一般社団法人レーザー学会の「第579回有機コヒーレントフォトニクス研究会」で、池田 浩貴さん(大学院修士課程化学コース 1年・愛知県・私立愛知工業大学名電高等学校出身)が、優秀学生発表賞(ポスター部門)を受賞しました。

同賞は、有機材料を利用した光デバイスの作製プロセスや物性に関して、優れたポスター発表を行った者に贈られるものです。

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当学会では、「柔軟性アントラセン分子混晶におけるエネルギー移動型光導波路」をテーマに発表を行いました。

小型の光通信デバイスを実現するためには、狭い空間にも折りたたんで収納できるほど柔軟で、光源の接触と角度調整の必要がない自発光型の光導波路の開発が必要です。しかし、従来の自発光型の光導波路は、柔軟性や強度に乏しく、発光を自己吸収してしまうために光輸送効率が低いという課題があります。
そこで、池田さんらは、発光特性および弾性変形機能を持つ「9,10-dibromoanthracene結晶」に、「9,10-diformylanthracene」という発光性分子を添加することで、分子混晶を作製しました。この分子混晶は、分子間でエネルギー移動を起こすことによって、光の自己吸収を大きく抑制し、「9,10-dibromoanthracene結晶」よりも自己吸収率が15分の1と、光輸送機能が極めて高い性質であることが分かりました。

この発見により、より効率的な光通信デバイスの実現に向けた具体的な開発が進むことが期待されます。

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受賞を受けて、池田さんは「ご指導いただいた林 正太郎准教授松尾 匠助教に感謝しています。精緻なデータが揃うまで、専用の装置で何度も実験を繰り返すことにとても苦労しました。今後は、様々な柔軟性分子混晶を作製し、光導波路のほか、レーザー共振器としても有用である材料の開発を行いたいです」と語りました。

詳しい研究内容はこちらから

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