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- 栗原教授がゆず農園での四足歩行ロボットによる実証実験を公開
11月12日、情報学群の栗原 徹教授が、高知県北川村のゆず農園で、ロボットによる収穫支援実験を行いました。
IoPプロジェクトの一環*で、共同研究者である高知大学 農林海洋科学部 濵田 和俊准教授とともに取り組んでいます。
本研究の実験公開は、昨年の葉果比推定につづいて2回目。
今回公開した実験においては、
- 生産人口の減少や高齢化を背景とした作業者数削減と労力軽減
- 園地には段差や傾斜が多いことから、車輪・クローラ型といった従来の収穫支援機器の限界
これらの課題を四足歩行ロボットSpot® が克服できるかを確認することが目的です。
実験のながれは、
- 四足歩行ロボットが作業者に追従することで園地マップを作成するとともに、果実の積み込み場所となるトラックの位置・ルートを記憶
- 作業者が収穫した果実を四足歩行ロボットが受け取り、トラックまで運搬
- トラックで果実を受け渡した後、作業者の元へ戻る
というもの。
作業者の音声「Spot ついてきて」で追従し、「Spot トラック」で受け取った果実をトラックまで運びます。命令する際の「Spot ~」 が音声コマンドのきっかけとなり、続いて発生する「やって欲しい動作」を簡潔に命令する仕組みです。
栗原教授の画像情報工学研究室に所属し、Spot® が人に追従するプログラム等を担当した、片岡 亮馬さん(情報学群4年・京都府立工業高等学校出身)によると、「命令する作業者によって、単語と単語の間隔やイントネーションが微妙に異なるため、反応に差が生じることもわかりました」と実験を振り返りました。
四足歩行ロボットは、画像認識により報道陣を含む大勢の人の中からビブスを着用した作業者のみに追従し、検知した障害物も回避して移動、園地内に設置されたターゲットを認識して現在地や目的地を正確に把握していました。収穫かごの果実をロボットに移し替える際は、ロボットに装備されたコンテナが作業者の腰あたりに位置するため、かがむ必要がなく、負担軽減につながります。
車輌タイプの運搬機器と比べ、四足歩行ロボットは安定して移動できることから、果実を傷つけることなく運搬でき、なにより、トラックへの運搬中に収穫が行え、作業時間・作業者数を削減できることを確認しました。
一連のながれは無事成功。
今後の展望として栗原教授は、
「ロボットの往復が、作業者の収穫作業スピードを超える場面もあり、作業者とトラック間の単純な往復移動でよいならば、すでに実用レベルに達していると言えます。ただし、高額なロボット導入は現実的ではないため、安価なロボットによる代替や、収穫時期の異なる果実への汎用など、一年を通して活用、かつシェアすることで、コストを抑えられないかと考えています。併せて、今回は作業者とロボットが1対1の条件下の実験でしたが、今後の展開として、複数の作業者が複数のロボットを並行して利用するなど多対多の協調・協力を実現し、効率的な運用も考えていく必要があります」
と語っています。
多くの報道機関が取材に訪れたことから、次世代型農業への注目の高さもあらためて感じることができました。
*本学が参画する高知県の農業を飛躍的に発展させるための産学官連携プロジェクト『IoP(Internet of Plants)が導く「Society5.0型農業」への進化』の研究課題のひとつである『省力化・付加価値化のためのセンシング・自動化』
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