2026.3.25在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究

伊藤 祐吉さんが日本機械学会 中国四国支部 講演会で「若手優秀講演フェロー賞」を受賞

大学院修士課程 知能機械工学コース2年の伊藤 祐吉さん(指導教員:極限ナノプロセス研究室 稲見 栄一教授)は、3月6日に広島県で開催された「日本機械学会 中国四国支部 第64期総会・講演会」で研究発表を行い、若手優秀講演フェロー賞を受賞しました。

同賞は、日本機械学会の支部・部門等が主催する講演会において、優れた講演を行った26歳未満の者に対し、約20人に1人の割合で贈られるものです。今回は、伊藤さんを含む5名が受賞しました。

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発表したタイトルは「金表面における原子分解能仕事関数計測:パルス走査プローブ顕微鏡の開発と応用」です。

スマートフォンや自動車、太陽電池などに欠かせない光電子デバイスの性能を極限まで引き出すためには、物質の表面における電子の振る舞いを原子レベルで理解・制御することが欠かせません。その中でも「仕事関数(電子を金属などの固体内部から放出させるのに必要な最小のエネルギー)」は、デバイスの性能を左右する非常に重要な指標です。

しかし、これまで広く使われてきた「走査プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)」では、試料の表面をなぞる探針(プローブ)自体の性質が測定データに不確定な形で混ざってしまい、試料固有の仕事関数だけを直接かつ正確に測り分けることが困難でした。

そこで、伊藤さんたちの研究チームは、この課題を解決するため、自身らが提唱してきたSPMとパルス電圧制御技術を融合させた新しい顕微鏡技術「パルス走査プローブ顕微鏡(パルスSPM)」について、その原理実証と高度化に取り組んでいます。

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この装置は、探針と物質の間に働く「局所接触電位差」と「局所障壁高さ」という2つの異なる物理量を同時に計測することで、探針の影響を計算から取り除き、物質本来の仕事関数を算出できる画期的な手法です。

本研究では、この新しい計測原理が正しく機能するかを厳密に検証するため、すでに特性がよく知られ、影響となるノイズが少ない清浄な「金(Au)」の表面を用いて実験を行いました。その結果、本手法から導き出された仕事関数の値は、先行研究で計算された理論値と良い一致を示し、パルスSPMを用いた計測手法の妥当性が実証されました。

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今回の受賞を受けて、伊藤さんは「今まで学会発表をしても受賞にまで結びつくことはなかったので、率直にうれしいです。今回、受賞というかたちに残る成果を残せたことで、これまで手厚くご指導いただいた稲見先生に、卒業前にやっと恩返しができたように感じています。本当にありがとうございました」と感謝を伝えました。

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