カーボンニュートラル材料研究センター

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センター概要

目的

地球温暖化対策として、温室効果ガスである二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルが求められています。水素は水から製造可能で、燃料電池の発電時には二酸化炭素を排出せず、水を生成するため、再生可能エネルギーの中心的なエネルギーキャリアとして注目されています。
本研究センターでは、水素の製造・貯蔵・輸送技術や、二酸化炭素を有用物質に転換する技術を開発します。また、最先端電子顕微鏡を用いて植物組織の3D解析を行い、光合成による二酸化炭素吸収効率を高める構造を解明し、持続可能なゼロカーボン社会を目指した育種開発を推進します。

センター構成員

研究方針及び今後の展望

本研究センターは、カーボンニュートラル社会の実現を目指し、水素製造・貯蔵技術や二酸化炭素変換技術を軸に、環境負荷を低減する革新的な材料・プロセス開発を推進します。また、先端電子顕微鏡技術を活用し、植物の光合成効率向上に寄与する組織構造の解明を目指します。

持続可能なカーボンニュートラル社会の実現に向け、以下の取り組みを進めます。


1. 技術開発の深化

  • 高性能な水分解触媒の開発では、高エントロピー酸化物(HEO)の電子構造制御により、酸素発生反応(OER)や水素発生反応(HER)の効率化を追求します。この技術は、低コストで耐久性の高い水素製造プロセスを実現する基盤となります。
  • 硝酸還元反応(NO3RR)を利用した環境負荷の低いアンモニア製造プロセスの開発を進め、農業やエネルギー分野での応用を目指します。
  • メタンドライリフォーミング(DRM)反応では、触媒設計により炭素析出を抑制し、長寿命で高効率な触媒技術を実用化します。これにより、温室効果ガスを有効資源として活用する新たな化学プロセスを創出します。

2. 植物による二酸化炭素吸収率の向上 

  • 電子顕微鏡を活用した3D定量解析を通じ、植物の葉構造と二酸化炭素吸収効率の関係を解明します。この成果をもとに、光合成能力を向上させた次世代作物の育種開発を進めます。特に、イネ科作物の光合成効率を高める立体構造を標的とした具体的な育種目標を策定します。

3. 学術的・社会的貢献の拡大

  • 年間複数のQ1レベルの学術論文を発表し、研究成果を国内外に発信することで、研究センターとしての国際的認知度を高めます。
  • 大型競争的資金の獲得を通じて研究規模を拡大し、新技術の開発を加速させます。
  • 産学官連携を推進し、開発した技術の社会実装を目指します。具体的には、触媒技術や作物改良技術を産業界に展開し、地域社会や産業界における温室効果ガス削減に寄与します。

4. 次世代研究者の育成

  • 若手研究者や大学院生に対し、最先端の研究環境を提供し、リーダーシップや自主性を育みます。研究課題の設定から成果発表に至るまで、全プロセスに主体的に関与できる機会を提供し、次世代を担う研究者の育成を推進します。

これらの取り組みを通じて、エネルギー問題や環境課題の解決に資する革新的な技術を生み出し、学術的貢献と社会的インパクトを両立させることを目指します。