2018.10. 5学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

篠森教授が「日本心理学会優秀論文賞」を受賞し、授賞式に出席しました

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受賞した「日本心理学会優秀論文賞」の授賞式が、9月24日仙台にて開催された「日本心理学会第82回大会 プレコンベンション学術交流会」で行われ、受賞した篠森 敬三教授(情報学群/総合研究所 視覚・感性統合重点研究室)が出席し拝受しました。

公益社団法人 日本心理学会では、学会賞として論文賞と出版賞が設けられており、この度2018年度の論文賞選考委員会により2017年度に「心理学研究」および"Japanese Psychological Research"に掲載された原著論文から学会に対して特に大きな貢献を果たした論文として今回4編が優秀論文として選ばれました


授与に先立ち、優秀論文賞選考委員会委員長の金沢 創教授(日本女子大学)より選考にあたっては「心理学研究」35編、「Japanese Psychological Research」16編の合計51編からまず委員により30編に絞り、次に12名の審査委員により10編に絞った上で、その10編については1本あたり3名の審査委員により評価して、受賞基準点を超えた上位の論文を5編以内で選んだところ、受賞4編が決まったと選考の詳細について説明がありました。

また賞状授与の後、各優秀論文受賞者が各10分で、受賞者プレゼンテーション(スピーチと論文内容の説明)を行いました。

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篠森教授は受賞論文について感謝の言葉を述べた後、内容の解説を行いました。最後に、注意形成のロジックの一端が「空間的な特徴結合」として明らかとなったので、今後はその全容解明を目指して頑張りたいと締めくくりました。

タイトル:
Spatial Correspondence Learning is Critical for the Sequence Effects of Symbolic Cueing

著者:
钱 谦(銭謙,Qian QIAN):昆明理工大学(Kunming University of Science and Technology) 准教授
王 锋(王鋒,Feng WANG):昆明理工大学 教授
宋 淼(Miao SONG):上海海事大学(Shanghai Maritime University) 講師
冯 勇(馮勇,Yong FENG):昆明理工大学 准教授
篠森 敬三:高知工科大学(視覚・感性統合重点研究室)教授

誌名.巻号等:
Japanese Psychological Research Vol.59, No.3, pp. 209-220, 2017.

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(写真左から篠森教授、宋博士、钱博士)  

本論文は、手がかり反応課題での順序効果に対し、空間配置の同一性を学習することが重要であることをまとめたものです。  


左方向の矢印などの空間的な手がかりを呈示した後に、左右離れた場所のどちらか一方に出る目標刺激(*マーク)を出来るだけ早く発見してボタンを押す(反応)課題を考えます。目標刺激が矢印と同じ向きに出る時は素早く応答でき、逆方向では遅くなります。これが手がかり効果です。また前の回の矢印の向きと刺激の場所が、次の回の応答の速さに影響を与えます。これを順序効果と呼びます。ただし順序効果が起こる理由が、矢印がどのくらいの確率で目標刺激を指しているかを理解し適切に対応するためなのか、単に前回と同じ配置(矢印と刺激が同方向配置かあるいは逆方向配置)に刺激が出る時に前回の記憶を使って早くなるのか、は判っていませんでした。今回の研究から、順序効果は手がかり刺激と目標得刺激が同じ配置パターンかどうかという空間的な配置の同一性を無意識的に学習するためであることが判りました。また単純な配置によるものだけでなく、右や左など、長年使ってきた漢字でも順序効果が起こることも明らかとなりました。スクリーン上の指示や緊急警告などを素早く伝える画面デザイン等への応用が期待されます。

 →掲載論文はこちら    
 →詳細な日本語解説はこちら

第1著者の銭 謙(Qian Qian)氏、第3著者の宋 淼(Song Miao)氏のふたりは、 博士後期課程特待生として篠森教授の研究室に所属していました。その後も宋さんは助教(ポスドク研究員)として、銭さんは平成28年度帰国外国人留学生短期研究制度の支援を受け再び篠森教授と研究を行うなど、博士後期課程修了後も研究を続け、現在钱氏が在籍する、昆明理工大学の方々との国際共同研究が今回の受賞につながりました。

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