2019.2.28在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

温室効果ガスを有用な化学原料に転換

JST戦略的創造研究推進事業において、物質・材料研究機構の阿部 英樹 主席研究員、本学の藤田 武志 教授、東京工業大学の宮内 雅浩 教授らの研究グループが、物質・材料研究機構の橋本 綾子 主任研究員と共同で、天然ガスの主成分であると同時に主要な温室効果ガスであるメタンと二酸化炭素の化学原料転換の実現に取り組み、この度優れた効果を発揮する触媒材料を創成することに成功しました。 本研究成果は、天然ガスの有効利用と温室効果ガス低減への突破口になると期待されます。

★図1.jpg

メタンと二酸化炭素の化学原料転換については、天然ガスの有効利用と地球温暖化抑止の観点から、"メタンドライリフォーミング(DRM)"と呼ばれるメタン転換反応が近年注目されています。
一方で、DRMは低温 (600度未満) において顕著な炭素排出反応(副生成物としてすすが出ること) が見られ、触媒の失活や反応装置の劣化をもたらすことから、高温(800度超)で行わなければならず、燃料消費等の問題で実用化には至っていませんでした。
そこで研究グループは、"低温活性(500度未満)"および"長時間安定的な炭素排出抑制"に向けての研究に取り組み、これらを実現する組みひも状の「根留触媒 (Rooted Catalysts) 」を創成することに成功しました。

藤田教授は、触媒探索と自身の専門である電子顕微鏡分野から、通常の電顕観察・解析および反応ガスを使用した雰囲気制御によるその場電顕観察を担当しており、
「メタン触媒の研究は非常に難しくチャレンジングですが、地道に取り組んでいくことが重要です。時間が掛かりましたが本成果もそういった一環から生まれたものです」と本成果を振り返りました。

★図2.jpg

本研究成果は、"Topologically Immobilized Catalysis Centre for Long-term Stable Carbon Dioxide Reforming of Methane" (トポロジー的に固定された触媒活性中心による長時間安定ドライリフォーミング)という論文題目で国際科学誌「Chemical Science」のオンライン版に公開されました。また、後日出版される号の表紙を飾る予定です。

本研究成果についての詳細は、JSTのプレスリリースをご覧ください。

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