2019.12. 2在学生・保護者 / 地域・一般 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

薄膜材料デバイス研究会において学生がStudent Awardを受賞

11月8日、9日に、京都市の龍谷大学で開催された「薄膜材料デバイス研究会第16回研究集会」において、森 海さん(大学院修士課程マテリアル工学コース 1年)が研究発表を行い、Student Awardを受賞しました。
本賞は、一般投稿数の10%を上限に、学生講演の中から特に優れた講演発表に対してプログラム委員および参加者の投票により贈られるもので、今年は40件の一般投稿の中から4件のStudent Awardが選出されました。

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本研究集会では「新時代に向けた薄膜材料のデバイス技術」をテーマに、薄膜材料デバイスの基礎と応用について議論が行われました。

森さんらの研究グループは、フレキシブルデバイスの応用にむけ、In-Ga-Zn-O薄膜トランジスタ(IGZOTFT)の低温作製に関する研究成果を発表しました。柔軟で伸縮性のあるフレキシブルデバイスを可能にするには、「柔らかい」プラスチック基板上に高性能IGZOTFTを作製することが求められます。しかし、プラスチックは耐熱温度が約150℃未満と低いことから低温で作製する必要がありました。

本研究室のこれまでの研究で、IGZO成膜時に水素を添加することにより150℃の熱処理でトランジスタ動作が可能となることは報告していました。しかし、ゲート絶縁膜(GI)応用を可能とする高品質な二酸化ケイ素を化学気相堆積法(CVD)により成膜するには400℃程度の高温が必要であり、フレキシブルデバイス作製上の課題でした。今回、陽極酸化法を用いて高誘電率酸化アルミニウムを室温で形成し、GIへ応用することで、薄膜トランジスタ(TFT)作製の全工程を150℃以下に低減することに成功しました。本研究によりプラスチック上に高性能トランジスタを実現する路が拓け、薄くて軽く、自由な形状のフレキシブルデバイスの実現が期待されます。

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(写真2枚目:作製したIn-Ga-Zn-O薄膜トランジスタ)

森さんは、「研究内容を評価していただき光栄です。高校の時から理科が好きで、漠然と半導体や超伝導など材料系の研究に魅力を感じ入学しました。一つの薄膜トランジスタを作製するのに約1週間かかるのですが、失敗を繰り返し、実験に成功した時には達成感を感じました。ご指導いただいた研究室の先輩方、古田教授には感謝しています。今後は、より高性能で信頼性の高い薄膜トランジスタの作製に挑戦し、将来はエンジニアの道に進みたいです」と受賞の喜びと抱負を語ってくれました。

■薄膜材料デバイス研究会ベストペーパーアワード
テーマ:酸化アルミニウムゲート絶縁膜によるIn-Ga-Zn-O薄膜トランジスタの低温作製

発表者:大学院修士課程マテリアル工学コース 1年 森 海さん
(指導教員:先端材料・素子科学研究室 古田 守教授

共同研究者:
大学院博士後期課程 基盤工学コース 3年 是友 大地さん
環境理工学群 4年 河野 守哉さん
環境理工学群 古田 守教授

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