2019.12. 3在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

藤田教授らの共同研究グループが水素発生触媒のナノスケールの触媒活性サイトを電気化学的にイメージングすることに成功しました

金沢大学ナノ生命科学研究所の髙橋 康史准教授、東北大学の末永 智一特任教授、Johns Hopkins大学のMingwei Chen教授、本学の藤田 武志教授(環境理工学群)らの共同研究グループは、走査型プローブ顕微鏡の一種である走査型電気化学セル顕微鏡(SECCM)の高解像度化を行い、水素発生反応(HER)の触媒として期待されている遷移金属カルコゲナイドナノシートの触媒活性サイトを電気化学的にイメージングすることに成功しました。

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(SECCMによるMoS2ナノシート計測の概要)
(a)SECCMを用いた二硫化モリブデン(MoS2)ナノシートの水素発生反応(HER)活性サイトのイメージングの原理図。(b)ナノピペットとサンプルの接触部の拡大図。ナノピペットとサンプルとの間に形成されるナノスケールの電気化学セルを用いて、局所的な電気化学計測を実現した。

さらに、SECCMによる観察で、局所的に電気化学的に硫黄の欠陥を形成し、触媒活性を亢進させることや、劣化が生じやすいサイトを可視化することに成功しました。

図2.jpg

(SECCMを用いた局所的な電気化学的な活性化)

本研究により、触媒の活性サイトを電気化学的に直接可視化することが可能となり、水素発生反応(HER)にとどまらず、酸素発生サイトやプロトン伝導サイトなど、さまざまな電気化学プロセスの可視化に応用できるようになります。これにより、触媒開発の設計指針の提示や、劣化しづらい触媒開発につながることが期待されます。

なお、本研究の成果は、2019年11月28日にドイツ化学会誌『Angewandte Chemie International Edition』のオンライン版にAccepted Articleとして掲載されました。

藤田教授からは「本研究は3年程前から分野間の融合研究の一環で始めたもので、社会に貢献できる成果がだせて非常に光栄です。今後も色んな分野の研究者と研究を深め、成果を出していけたらと思います」と抱負が語られました。

『Angewandte Chemie International Edition』はこちらから

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