2020.5.26研究 / 研究者・企業

原子の並びの可視化に世界初成功

山本 哲也教授(総合研究所 マテリアルズデザインセンター)と、株式会社リガク、住友重機械工業株式会社の研究グループは、金属酸化物の極薄膜(厚さ0.05ミクロンメートル)内での原子の並びの可視化に世界で初めて成功しました。

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本研究グループは、ガラス基板上に堆積された金属酸化物薄膜作製における加熱工程で、金属原子と酸素原子の並び度合いの可視化に成功しました。山本教授が住友重機械工業株式会社と共同研究開発した反応性プラズマ蒸着装置により、室温で金属原子と酸素原子とが乱雑に並ぶ「アモルファス状態」の金属酸化物極薄膜をガラス基板上に定着させ、原子が秩序をもって並ぶ「結晶状態」を創るべく、基板裏面から徐々に加熱する新しい手法を開発しました。その手法による加熱工程で原子がうごめきながら並んでいき、180℃で「結晶状態」になる様子を、株式会社リガクの「高速2次元X線検出器」により「見える化」し、これが世界初の観察成功となりました。
この成果は、軽く、壊れず、曲げられるが熱に弱い素材を基板とするフレキシブル部材の実現など今後の応用の多様化をもたらすことが期待されます。

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「アモルファス状態」から「結晶状態」への4過程 (古林 寛助教作図)

山本教授は「無機材料内での今回の秩序形成は、人類が担う、「文明の衝突」から「文明の協奏発展」への全体像をこの世相の中で渡してくれたようです」と感想を述べました。

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