2021.3.11在学生・保護者 / 地域・一般 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

学生が電気学会 電子・情報・システム部門大会 技術委員会奨励賞を受賞

河野 守哉さん(大学院修士課程マテリアル工学コース 1年)が、一般社団法人電気学会 電子・情報・システム部門より技術委員会奨励賞を受賞しました。
本賞は、2020年1月23日、24日に、鳥取大学で開催された一般社団法人電気学会 電子・情報・システム部門研究会において発表された論文の中から、特に優秀な論文1~2件に与えられるものです。

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河野さんらの研究グループは、「低温形成した陽極酸化アルミナ絶縁膜の膜物性評価とそのデバイス応用」をテーマに、フレキシブルデバイスの応用にむけ、In-Ga-Zn-O薄膜トランジスタ(IGZOTFT)の低温作製に関する研究成果を発表しました。
薄膜トランジスタ(TFT)はスマートフォンやテレビなどのディスプレイに用いられる駆動素子です。柔軟で伸縮性のあるフレキシブルデバイスを可能にするには、「柔らかい」プラスチック基板上に高性能IGZOTFTを作製することが求められます。しかし、プラスチックは耐熱温度が約150℃未満と低いことから低温で作製する必要がありました。

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本研究室のこれまでの研究で、IGZO成膜時に水素を添加することにより150℃の熱処理でトランジスタ動作が可能となることは報告していました。しかし、ゲート絶縁膜(GI)応用を可能とする高品質な二酸化ケイ素を化学気相堆積法(CVD)により成膜するには400℃程度の高温が必要であり、フレキシブルデバイス作製上の課題でした。
今回、河野さんらの研究グループは、陽極酸化法を用いた高誘電率酸化アルミニウムを室温で形成し、GIへ応用することで、良好な伝達特性および高い均一性を示すTFT作製の全工程を150℃の低温プロセスで作製することに成功しました。また、作製した酸化アルミニウムの絶縁破壊強度評価、膜厚制御、表面観察などの膜物性評価を行い、膜厚を薄くすることでドレイン電流が増大、かつリーク電流は1pA以下に抑えられたことから、薄膜への応用が可能であることを示しました。本研究によりプラスチック上に高性能トランジスタを実現する道が拓け、薄くて軽く、自由な形状のフレキシブルデバイスの実現が期待されます。

河野さんは、「初めての学会発表でこのような栄えある賞をいただき光栄です。大型研究施設(クリーンルーム)を使った研究に魅力を感じ、先端材料・素子科学研究室を希望しました。ご指導いただいた古田 守教授(環境理工学群)、発表練習等に付き合ってくださった研究室の方々には感謝しています。今回、ガラス基板上で従来と変わらない性能をだすことができたので、後1年の在学中にフレキシブルデバイスでも同じ特性をだせるよう研究を進めていきたいです」と受賞の喜びと抱負を語ってくれました。

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