2021.10. 6地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

園部 元康准教授が「重心の揺れからの人のバランスを測る」をテーマにイブニングセミナーに登壇

9月22日、本学地域連携機構主催のイブニングセミナーをオンラインで開催しました。 本セミナーは、本学の研究成果による地域貢献事例を皆様に紹介し、地域の未来をともに考え、議論することを目的としています。

今年度第3回目は、園部 元康准教授システム工学群)が「重心の揺れからの人のバランスを測る」をテーマに講演を行い、テーマに関心のある方々にご参加いただきました。

★講演の様子スライド3.jpg

園部准教授は、セミナーの冒頭、乗りやすい電動スケートボードの制作を2012年頃に試みたが、その際、人の揺れに対する応答システムがないと制御できないという当たり前のことに気がつき「バランスをモデリングする」という、研究実績の少ない研究テーマの着想に至った経緯を述べました。

続いて、一般的なバランスの検査法、加齢や病気によるバランスの変化、人によるバランスのとり方の違いなどを説明しました。高齢化に伴い、寝たきりなどの要介護者が増加する主な原因には、骨折・転倒の割合が一定数含まれていることから、転倒を防ぐためにはバランス能力の低下を判定することおよび適切なトレーニング法の開発が必要とされていることを紹介しました。

蝨堤伐_X0A9350.jpg ★図.jpg

そこで園部准教授は、実用的な重心計法・安静立位の評価・外部刺激に対する応答の評価という3つの力学的合理性に基づく運動評価でアプローチを進めていることを紹介しました。安静立位の評価(足首の感覚検査)では、重心変位の揺れの大きさと重心加速度の揺れの大きさについて、若年健常者100名を計測し、そのデータを解析しました。その結果を基に、加速度変動が小さい集団内で変位変動の差が生じる理由は剛性の違いであること、加速度変動が生じる理由は制御のばらつきに依存していることを解説しました。

最後に、今後も重心と力の実用的な計測およびバランスモデルに基づく力学的な特性という工学的観点からアプローチを行い、健康寿命の延伸に貢献していきたいとセミナーを締めくくりました。

参加者からは「建設現場等において、危険な作業をする前に重心計測を行うことで事故防止に役立ちますか」といった質問や「今後、健康診断メニューの一つとして、転倒防止に対する診断から対策指導が行われるような仕組みがあればいいと思いました。この研究が実用化されることを期待しております」といった感想が寄せられました。

セミナーの動画は地域連携機構のYouTubeに掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
次回のイブニングセミナーは、11月17日(水)18:00から濵田 愛助教(システム工学群)が「都市空間の読み解きとデザイン」をテーマに講演予定です。

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