2021.11.25在学生・保護者 / 地域・一般 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

高知化学シンポジウム2021で学生が優秀ポスター発表賞を受賞

10月30日、「高知化学シンポジウム2021」(主催:高知化学会、共催:高知工科大学 総合研究所 分子デザイン研究センター/構造ナノ化学研究センター)をオンライン開催しました。 本シンポジウムは、高知県内の産学官で化学研究に携わる全ての関係者の学術的・人的交流を図る目的で開催しており、学生および若手研究者に対しても、口頭発表・ポスター発表できる経験の場を提供しています。 その中で、本学学生3名が優秀ポスター発表賞(5件/44件中)を受賞しました。

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金重 貴也さん(大学院修士課程 化学コース 2年)の発表したテーマは「結晶サイズの極微細化がもたらす金属有機構造体の熱誘起結晶相転移」です。
本研究は金属と有機材料からなる結晶の物性に対して、サイズや外形などの構造的要因が与える影響の解明をめざしています。金属材料ではサイズや形態がその熱的性質に大きな影響を与えることが知られています。一方、金属有機複合結晶ではその構造的特徴が与える影響について未解明でした。本研究では、種々の合成条件検討により結晶のナノ構造制御合成を実現しました。また、得られた結晶の物性について熱力学的観点から検討した結果、前例のない熱誘起結晶相転移現象を初めて明らかにしました。この研究は、金属有機複合結晶においても金属材料に見られるようなサイズによる熱物性の変化を初めて示し、新たな研究領域の開拓につながります。

受賞を受け、金重さんは「このような素晴らしい賞をいただけて大変光栄です。日頃からお世話になっている大谷 政孝准教授(環境理工学群)をはじめとする先生方、機能性ナノマテリアル研究室の皆様に心より感謝を申し上げます。今後は発表した研究成果をもとに論文の作成に励んでいきたいと思います」と語ってくれました。

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岩﨑 智子さん(大学院修士課程 化学コース 2年)の発表したテーマは「結晶化に伴う新規ビアンスリル誘導体の蛍光増強」です。
溶液に紫外線を照射すると強く光る有機化合物は数多く開発されていますが、その多くは結晶化に伴ってほとんど光らなくなってしまいます。研究を進める中で、それとは逆に溶液状態ではとても弱く光る一方で結晶状態では強く光るという興味深い挙動を示す新規化合物を見出しました。本発表では、その挙動の由来を比較化合物の物性と対比しながら明らかにしました。結晶化することによって強く光るこの化合物は、有機ELなどの発光デバイスの中で用いられる固体材料として利用できるのではないかと期待されています。

受賞を受け、岩﨑さんは「沢山の発表があった中、優秀ポスター発表賞に選んでいただきとても嬉しいです。伊藤 亮孝講師(環境理工学群)をはじめ支えてくださった皆様のおかげです。本受賞を励みに今後も研究に邁進してまいります」と語ってくれました。

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美里 泰蔵さん(大学院修士課程 化学コース 2年)の発表したテーマは「色素担持球状イオン交換媒体の酸素応答発光」です。
本発表では、蛍光とりん光という種類の異なる発光を示す物質を同時に取り込んだ試料をつくりました。この試料からの発光が、酸素分子の存在によって変化することを明らかにしました。2つの発光成分の強度比を使うことで、高感度かつ定量的な検出ができる酸素センサーとしての利用が期待されます。

受賞を受け、美里さんは「数ある研究発表の中から優秀ポスター発表を受賞でき、大変光栄です。伊藤 亮孝講師や同研究室の皆様に感謝します。さらなる成果を出せるよう研究に勤しみたいと思います」と語ってくれました。

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