2022.3.15在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

学生が高知化学会会長賞を受賞

三輪 真梨乃さん(修士課程 化学コース2年)と樋野 優人さん(環境理工学群 4年・高知県立中村高等学校出身)が「第20回高知化学会会長賞」を受賞し、12月25日にオンラインで行われた受賞記念講演会に登壇しました。

高知化学会は、化学講演会、出張講義、高校生・中学生のための化学実験講座など多彩な事業を展開し、化学の普及と活性化、化学を目指す若い世代の育成、地域産業の発展などに寄与する目的で活動する組織です。


同賞を受賞した2名は現在研究を進める以下の題目で記念講演を行い、研究概要や受賞の喜びなどを語りました。

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三輪 真梨乃さん
記念講演題目「置換基効果を鍵とする励起状態分子内プロトン移動化合物の光化学物性制御」

光を吸収することによって生成する励起状態から光を放つ蛍光性有機化合物は、有機ELをはじめとする発光デバイスや温度などの環境を可視化するツールとして利用されています。私は、分子の中に存在する水素イオンが励起状態において分子内の別の位置へと移動する「励起状態分子内プロトン移動」という現象に着目しました。本研究では様々な置換基を導入した化合物を合成し、その光化学物性の評価を行うことで、化合物の電子的な環境によって励起状態の性質を切り替えられることを明らかにしました。このような励起状態における構造変化を利用することで、従来の蛍光性有機化合物では難しい固体状態でも強く発光する物質を創り出すことができると期待されます。

今回、このような賞をいただくことができ大変光栄に思います。ご指導いただいた伊藤 亮孝講師(環境理工学群)と光機能化学研究室の皆様に感謝します。本受賞を励みに今後も真摯に研究に取り組んでいきます

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樋野 優人さん
記念講演題目「1,8-ビスフェニルアントラセン:様々な結晶群の自在創出とその光、熱、機械機能の実現」

医薬品や有機半導体等の重要な材料である有機化合物の結晶は、非常に小さな分子が3次元的に規則正しく配列することで得られます。しかし、同じ分子からなる結晶であっても、分子の立体配座や配列パターンの違いが結晶の性質に影響することが知られています。そのような結晶構造の異なる結晶は"多形"と呼ばれており、特に医薬品では、固体の特性が薬効に直接影響するために多形の制御への要求が高まっています。今回我々は、構成元素が炭素と水素からなる非常にシンプルな分子である「1,8-ビスフェニルアントラセン」に着目し、結晶の物性を熱、光、機械機能の観点から調査しました。その結果、本化合物の結晶化条件を最適化することで様々な多形を創製することに成功しました。また、興味深いことに青色発光を示す板状結晶は熱的な刺激をきっかけに構造変化が結晶全体に広がり発光が緑色になることを明らかにしました。

今後も有機結晶ならではの物性や機能に関する学理を追求していきたいと思っています。

詳しくはプレスリリースをご覧ください。

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