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新家 潤さんが日本機械学会若手優秀講演フェロー賞を受賞

大学院修士課程 知能機械工学コース 2年の新家 潤さん(指導教員:ヒューマンメカトロダイナミクス研究室 芝田 京子准教授)が、2021年9月5日~8日にオンライン開催された「日本機械学会 2021年度年次大会」にて研究発表を行い、発表内容の有益さと新規性・発表と質疑応答の態度・本人が研究を主体的に行ったことなどが評価され、日本機械学会若手優秀講演フェロー賞を受賞しました。

本賞は、日本機械学会の支部・部門等が主催する講演会において、優れた講演を行った者を顕彰することによって若者に自信と誇りを与え、若手の専門家育成を支援し、もって科学技術創造立国のための人材育成に貢献することを目的としているものです。

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新家さんが発表したテーマは「3DCNN テンプレートを用いたヒト脳聴覚野における複合音推定システムの提案」です。
近年、fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging、機能的磁気共鳴画像)の発達により脳情報デコーディング技術の研究が進められています。fMRIは脳機能画像解析法の代表格であり、脳活動を定量的に測定することが可能です。脳情報デコーディング技術のなかでも、視覚野の分野においては、被験者が見た物体だけでなく、夢で見た脳内イメージもデコーディング可能なデコーダアルゴリズムが開発されています。しかし、聴覚野の分野では、MRI 撮像音が非常に大きいため、脳情報デコーディング技術の研究が遅れていました。

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そこで新家さんは、聴覚分野での脳情報デコーディング技術の発展のためにfMRIの撮像データを解析し、被験者が聴いた音を推定する音階デコードシステムの開発を行いました。
具体的には、複合音の中に含まれる特定のピッチ(音高)の音を検出可能な2出力の3DCNN(3 Dimension Convolution Neural Network)モデルを深層学習テンプレートとしてピッチ毎に構築し、各深層学習テンプレートから検出される特定のピッチの音を組み合わせることで聴覚刺激として与えた複合音の音階を推定する方法を提案しました。検証では、3つの異なるピッチの音で構成される20種類の複合音を聴覚刺激として与えた際の脳活動画像の音階を推定し、交差検定により評価しました。その結果、最大45.00%、平均34.72%の推定率が得られ、提案した手法が有用である見通しが得られました。また、個々の深層学習テンプレートの検出精度をあげることにより、各ピッチの音階の深層学習テンプレートを重ねる構造が有用である見通しが得られました。
本研究の進展により、脳の音楽認知・創造のメカニズムの解明につながることが期待されます。

受賞を受け、新家さんは「栄えある賞をいただき大変光栄です。芝田京子先生には、指導教員として本研究の実施の機会を与えていただき、その遂行にあたって終始ご指導をいただいたことを、情報通信研究機構の佐藤公信先生には、研究環境の構築から深層学習をはじめ、研究に必要な知識のご教授ご鞭撻をいただきましたことを心から感謝申し上げます。また、研究活動を支えてくれた研究室のメンバー、これまで自分の思う道を進むことに対し、温かく見守り、そして辛抱強く支援してくださった両親に心から感謝申し上げます。幾度となく失敗はしましたが諦めることなく研究に取り組み、結果を残せたことを嬉しく思います。社会人になっても大学で培った理論的な考察力をいかして、新しいことに挑戦していきます」と語りました。

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