2022.4. 4地域・一般 / 地域貢献 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

前田 和範講師が日本スポーツマネジメント学会学会奨励賞を受賞

前田 和範講師(経済・マネジメント学群)が、2021年度日本スポーツマネジメント学会学会奨励賞を受賞し、3月1日、2日にオンライン開催された第14回日本スポーツマネジメント学会での受賞式に出席しました。

日本スポーツマネジメント学会は、スポーツマネジメント理論の研究者およびそれに積極的に関心を持つ関連諸分野の研究者や専門家からなる研究組織を編成し、明確な目的意識と方法論をもって、学問としてのスポーツマネジメントの確立をはかることを意図して設立されました。本賞は、前年度に学会機関誌「スポーツマネジメント研究」に掲載された論文を対象に、スポーツマネジメントの発展に貢献しうる優秀な論文2編に授与されます。

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前田講師は、「プロスポーツチームに所属する選手のホームタウンに対する態度変容」をテーマに、プロスポーツチームの地域密着戦略の観点から、選手がホームタウン(チームの本拠地がある地域)に対し、いかにしてポジティブな態度を形成するかについて発表しました。

プロスポーツチームの経営では、単にレベルの高い試合を提供するだけでなく、選手が日常的にホームタウン活動などに従事することで地域のステークホルダーとのつながりを強化し、経営の安定化を図っています。一方で選手は、練習に打ち込みつつ地域での活動を両立しなければならないというジレンマを抱えてきました。
本研究では、コミュニティ感覚理論を援用し構築した仮説モデルの検証、および各構成要因のシーズン序盤から終盤にかけての縦断的変化の検討によって、そのような選手のホームタウンに対する態度の解明を試みました。対象となったプロ野球独立リーグ球団に所属する選手への質問紙調査の結果から、シーズン終盤における選手の「ホームタウンに対する責任感」は、ファンとの交流を積極的に行う「関係構築努力」や、自発的な欲求を示す「チーム活動に対する調和性パッション」、チームに所属することで醸成される「チームへの誇り」というポジティブな要素からの影響を受け、模範的な行動を行わなければならないという「ロールモデル」の意識や、強迫的な衝動を示す「チーム活動に対する強迫性パッション」という統制的な要素からは影響を受けないことが示されました。また、シーズン序盤から終盤にかけての「チーム活動に対する強迫性パッション」が低下したことからも、選手は地域と密接に関わる状況下においてプレーを続け、ホームタウン活動等に従事することで、ホームタウン全体や活動に対してもポジティブな態度を形成することが確認されました。
これにより、チームマネジメントの観点からも、このような選手特性を理解しつつ経営戦略を立てていくことが重要であることが示唆されました。

受賞を受け、前田講師は「この度は、栄えある賞をいただき大変光栄です。日本スポーツマネジメント学会の賞を受賞することは、研究活動における一つの目標でもありましたので、大変嬉しく思います。本論文の執筆にあたって、調査に関わっていただいた多くの方々に改めて感謝申し上げます。この研究を足がかりとして、学術的にも実践的にも、スポーツ界の発展に貢献できるよう、今後も精進してまいります」と語りました。

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