2022.9.14在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

髙橋 龍さんの論文が進化行動科学に関する英文学術論文誌に掲載されました

8月5日、経済・マネジメント学群4年の髙橋 龍さん(指導教員:進化・社会心理学研究室 三船 恒裕教授・宮城県石巻工業高等学校出身)を責任著者とする論文が、英文学術論文誌「Letters on Evolutionary Behavioral Science」に掲載されました。

「Letters on Evolutionary Behavioral Science」は、日本人間行動進化学会が2010年8月からオンライン発刊する、進化行動科学に関するオープンアクセスの査読付き論文誌です。

論文のタイトルは、「Sincerity Is Better Than Forgiveness: What the Transgressor Expects in an Apology(誠意と赦し、どちらが重要か-加害者が謝罪に期待することとは-)」です。

葛藤関係にあった個体間における「仲直り(和解)」の主要な要因として、加害者側の謝罪と被害者側の赦しが挙げられます。これまで多くの研究によってどのような要因が謝罪や赦しを促進するのかが検討されてきました。

和解を促す要因の検討は数多くされているものの、それらの研究は被害者もしくは加害者のどちらか一方に着目したものが多く、被害者側と加害者側に共通した要因の検討はそれほど多くありません。仲直りのプロセスを理解するためには、被害者の赦しを促す要因を、加害者はどう捉えているのかを検討する必要があると髙橋さんは考えました。そこで本研究では、加害の意図性と謝罪にかけるコストに着目し、加害者の視点でそれらの要因が存在する場合に被害者の赦しを促進すると思うのかを、場面想定法を用いた実験で検証しました。その結果、加害の意図性があるときよりもないときの方が、また、コストのかからない謝罪よりもコストをかけて謝罪した方が、被害者が知覚するであろう誠意の期待や被害者の赦しの期待が高まりました。ただし、有意な交互作用効果は見られませんでした。

この結果をさらに分析すると、コストのかかる謝罪と赦しの期待との間に、誠意の期待の媒介効果があることも示されました。

髙橋さんは今回の論文について、「論文が掲載されて嬉しく思います。指導教員としても、共著者としてもお力添えいただいた三船先生に感謝しています。このテーマに興味を持ったきっかけは、三船先生の勧めで参加したオンラインでの学会でした。コストのかかる謝罪についての研究は先行研究が少なく、論文の新奇性も評価された点だと思います。今後もこのテーマについてさらに研究を深め、大学院の進学を目標に努力していきたいです」と語りました。

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論文タイトル:Sincerity Is Better Than Forgiveness: What the Transgressor Expects in an Apology(誠意と赦し、どちらが重要か-加害者が謝罪に期待することとは-)

論文著者:経済・マネジメント学群 4年 髙橋 龍
     経済・マネジメント学群 教授 三船 恒裕

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