2022.12.16お知らせ / 地域・一般 / 地域貢献 / 学群・大学院 / 研究

重山 陽一郎教授が土木学会デザイン賞2022の奨励賞を受賞しました

11月29日、公益社団法人土木学会 景観・デザイン委員会が主催する土木学会デザイン賞2022において、システム工学群の重山 陽一郎教授がデザインに参画した「横瀬川ダム」が奨励賞を受賞しました。

土木学会デザイン賞は2001年に創設され、道路・街並み・公園・河川などの公共的な空間や、橋梁・堤防等の構造物等として実現されているもの、土木構造物や公共的な空間に、計画や設計技術など創意工夫によって周辺環境や地域と一体となった景観の創造や保全を実現した作品、それらの実現に貢献した関係者や関係組織の顕彰を行っています。

2022年度は30件の応募の中から「最優秀賞」3作品、「優秀賞」7作品、「奨励賞」7作品が受賞作品として選ばれました。授賞式は1月21日に土木学会講堂(東京都)で実施され、当日は受賞者によるプレゼンテーションも予定されています。

土木学会デザイン賞

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高知県宿毛市にある横瀬川ダムは、四万十川支流中筋川流域の治水・利水・環境に貢献する多目的ダムです。ダムの下流には水神が宿っているという地元の信仰対象であるトドロの滝が存在し、周辺には絶滅危惧種の「ヤイロチョウ」が生息するシイ・カシの天然林が分布しています。これらを保護するために地形改編を最小限に抑える必要があったことから、横瀬川ダムのコンセプトは「環境負荷最小限を目指したエコダム」と設定されました。

重山教授は、2014年頃から事業景観アドバイザーおよび全般のデザイン指導として携わりました。まず、下流側の側水路から越水した水流を受け止めて減勢させる堤趾導流壁が階段状に立ち並ぶ複雑な形状を整理し、左右岸の眺望スペースから眺めた時の煩雑さを軽減させました。また、エレベーター上屋と水位計室上屋を同一形状とすることで、シンメトリーなシルエットを実現し、姉妹ダムである中筋川ダムの上屋形状と揃えたデザインを採用しました。その他にも、天端道路が公道であることから車両用防護柵と歩行者用転落防止柵、間接光の手摺り照明と天端橋梁の桁側面を一体で隠す化粧カバーを兼ねたプレキャスト壁高欄を考案し、シンプルで連続性のある天端空間のデザインを実現しました。ダム堤体下流側のプレキャスト壁高欄には、クライミング用の吊り金具を設置し、日本で初となる堤体下流面を利用したクライミング施設を整備し、市民に開かれたダム施設として活用されています。
これらの技術と造形を調和させるための様々なデザインや、地域の成果・文化創造に向けたデザインなどが評価され、受賞の運びとなりました。

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受賞をうけて重山教授は「土木学会デザイン賞を受賞することができ嬉しく思います。良くできた土木構造物は風景の中に置いた時に違和感がありません。当たり前のようにあるべきものがあるので、気にもしないし気づかれないことが多いです。今回の横瀬川ダムについては、大規模なので気づかれないことはありませんが、嫌みの無い洗練されたデザインを目指しました。ダム下流側が階段状に並ぶ複雑な形状は、ダムマニアの方にとっては必見です。デザインする立場としては難しかったものの、関係者の皆様の多大なご協力で良いものができたと感じています。横瀬川ダムが、河川の氾濫防止・渇水の対策として地域の方々の役に立つことを願っています」と語りました。

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