2023.1.18地域貢献 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

伊藤 文人講師がSDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)に採択されました

フューチャー・デザイン研究所の伊藤 文人講師が研究代表者を務めるグループが、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の2022年度新規採択プロジェクト「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)」に採択されました。今年度は52件の応募の中から6件が採択されました。

このプログラムは、JSTの社会技術研究開発センター(RISTEX)が推進する社会技術研究開発事業で、2021年から募集が開始され、今年度で2年目となります。社会技術研究開発事業とは、現存する社会問題の解決や将来起こり得る社会問題への対処などを通して、新たな社会的・公共的価値の創出を目指す事業で、社会問題に関係するさまざまな関与者と研究者が協働するためのネットワークを構築し、競争的環境下で自然科学と人文・社会科学の知識を活用した研究開発を推進しています。   

伊藤講師が採択された研究課題は「シチズンサポートプロジェクトによる社会的孤立・孤独の一次予防」です。

社会的孤立・孤独は、さまざまな疾患のリスク因子となっており、孤立・孤独を生まない体制や社会の構築は喫緊の課題ですが、十分な体制が構築されているとはいえず、社会の理解も進んでいるとは言い難い現状があります。このため、当事者は自身の気持ちを表出することに抵抗感を感じてしまいます。また、孤立・孤独予防を目的とした活動を含め、高齢者が集う地域の場で男性が少ないことが、全国共通の課題になっています。その背景として、既存の地域の場が「男らしさやニーズに十分な配慮をしないまま運営されてきた」ことが挙げられます。

本プロジェクトでは、高齢男性向けの新たな居場所(コミュニティー・シェッド)の立ち上げ・運営を通し、その効果を検証します。具体的には、プロジェクト期間内に熊本県水上村および北海道札幌市においてコミュニティー・シェッドを立ち上げ、社会的孤立・孤独の一次予防システムとして有効に機能するか、フィールド調査および心理・脳・健康の調査から検証します。
これらを通じて、日本独自のコミュニティー・シェッドの在り方を提案し、実践と研究の両輪で高齢者の社会的孤立・孤独に立ち向かい、望まない孤立・孤独を未然に防ぐ取り組み、すなわち一次予防システムの構築につなげていくことを目標としています。

★伊藤文人先生写真.jpg

採択を受けて伊藤講師は「地域住民の居場所となるコミュニティー・シェッド(メンズ・シェッドと呼ばれることが多い)は1990年代からオーストラリア、アイルランド等で数多く導入されている高齢男性の孤立・孤独を防ぐ仕組みです。本プロジェクトでは、作業療法士や保健師、心理学者や神経科学者といった多様な分野の専門家が協働し、実践と研究の両輪で高齢男性の社会的孤立・孤独の一次予防に取り組みます。一概にコミュニティー・シェッドを日本に作ると言っても、過疎化が進む地域と、都心のように地域のつながりが希薄な地域とでは、社会的孤立の仕組みも違いますので、様々な場所で研究を重ねる必要があります。将来的にその地域の住民同士が主体的にコミュニケーションを取り、コミュニティー・シェッドを立ち上げることのできる社会をめざして、導入への手助けを行っていきたいと思います」と意気込みを語りました。

SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築)の詳細はこちらから

RELATED POST

関連記事