2023.1.23在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

The 27th International SPACC Symposium(第27回先端錯体工学研究会国際シンポジウム)において学生がStudent Poster Awardを受賞

12月10日~11日にオンラインで開催された「The 27th International SPACC Symposium(第27回先端錯体工学研究会国際シンポジウム)」(主催:先端錯体工学研究会)において、Nikita Madhukarさん(大学院博士後期課程 基盤工学コース 2年/指導教員:光機能化学研究室 伊藤 亮孝准教授)と三輪 真梨乃さん(大学院修士課程 化学コース 2年/指導教員:光機能化学研究室 伊藤 亮孝准教授)の2名がStudent Poster Awardを受賞しました。本賞は、優秀なポスター発表に対して与えられる賞で、発表14件のうち、3件に与えられました。

Nikita Madhukarさん

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Madhukarさんが発表したテーマは「Sensitized Luminescence from Terbium(III) Ion Doped in Ionic Nanosphere(ナノイオンキャリアに担持したテルビウム(III)イオンからの増感発光)」です。

ランタノイド(III)系発光体は、センサー、光電変換、表示デバイスなど様々な用途に利用されています。しかしながら、ランタノイド(III)イオンやその化合物からの発光は非常に弱く、強い発光を示すランタノイド(III)システムの開発は重要な課題となっています。私たちは、イオン交換樹脂の一種であるナノイオンキャリアを用いる非常にシンプルな手法でこの課題の解決を目指しています。ナノイオンキャリアにテルビウム(III)イオンを導入すると、キャリアの光吸収の後にテルビウム(III)イオンへと励起エネルギーが移動することによってテルビウム(III)イオンからの発光が増大しました。このシステムは、元素によらず簡便な方法で強いランタノイド(III)発光を実現することができます。そのため、ランタノイド(III)発光体の選択肢のひとつとして利用されると期待できます。

受賞を受け、Madhukarさんは「It is an enormous honor for me to have won Student Poster Award in The 27th International SPACC Symposium. I had the opportunity to present my work in front of eminent scientists who were present at the conference, which was a tremendous opportunity for me. I want to sincerely thank my supervisor, Associate Professor Akitaka Ito for always being an inspiration to me and motivating me to improve both my research and conference participation. I intend to keep doing research and give it my all to advance in my field.(学生ポスター賞を受賞し、大変光栄に思います。会議に出席していた著名な科学者の前で自分の研究を発表したことは、私にとって非常に大きな経験となりました。常に私に刺激を与え、研究と学会参加の両方を向上させるモチベーションを与えてくださった伊藤先生に、心から感謝したいと思います。私はこれからも研究を続け、化学の分野で前進するために全力を尽くします)」と語りました。

三輪 真梨乃さん

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三輪さんが発表したテーマは「Fluorescent Solvatochromism of Charge-Transfer-Type Compounds Having A Nitro Group(ニトロ基を有する電荷移動型化合物の大きな蛍光ソルバトクロミズム)」です。

光の吸収によって生成する励起状態から光を放つ蛍光性有機化合物は、有機ELにおける発光色素など、様々な場面で利用されています。本研究では、同じ物質であっても溶媒によって発する蛍光の色が変化する「蛍光ソルバトクロミズム」を対象としました。この現象を発現するには光吸収の前後における化合物内の電子分布の大きな変化が求められます。そこで、強く電子を求引する性質をもつニトロ基を導入した化合物を合成したところ、溶媒によって青緑から赤色まで変化する大きな蛍光ソルバトクロミズムを示しました。ニトロ基をもつ化合物にはほとんど蛍光しないものが数多く存在しますが、適切な分子設計によって蛍光性を付与できることもわかりました。このような知見を活かして、周辺環境を可視化する化学センサーやバイオイメージングなどへの応用が期待されます。

受賞を受け、三輪さんは「このような素晴らしい賞をいただき、大変嬉しく思います。指導教員である伊藤先生をはじめ、本研究に携わっていただいた方々に深く感謝いたします。4月からは博士後期課程に進学し、より一層精進して研究活動に取り組みます」と語りました。

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