2023.9. 8在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

末廣 いのりさんが第39回センシングフォーラムで研究奨励賞を受賞

大学院修士課程情報学コース 2年の末廣 いのりさん(宮崎県立延岡高等学校出身/指導教員:画像情報工学研究室 栗原 徹教授)が、「計測自動制御学会 第39回センシングフォーラム 計測部門大会~新たな地平を切り開くセンシング」で、センシングフォーラム研究奨励賞を受賞、9月1日に開催された表彰式に出席しました。

本賞は、同フォーラムの活性化を目的に2000年度に設けられ、優れた研究発表を行った35歳以下の若手研究者を対象に授与されるものです。

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末廣さんが発表したテーマは「歩行型LiDARによる園地点群データからの樹木分離法の検討と葉数推定」です。

これまで、末廣さんは、果実の安定生産につながるとされる葉果比に着目し、LiDAR※1およびSLAM※2から得られる3次元点群データを用いて、ゆず樹木の葉数を推定する方法を研究してきました。

果実の産出額は、優良品種への転換により年々増加傾向にある一方で、生産者の高齢化や栽培農家数の減少により、栽培面積や生産量は緩やかな減少傾向に向かっています。継続的に安定した果実栽培を行うためには、生産効率を高めるだけでなく、作業量を少なくし、必要な労働人数や労働時間を削減することが必要です。

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今回の発表では、LiDARで得られる園地全体の点群データから、自動で各樹木を分離する樹木分離法を検討しました。また、樹木分離法の有用性を検討するため、先行研究の主成分回帰分析(点群数・樹高など4つの特徴量で算出)を行い、自動と手作業データとの結果を比較しました。
その結果、樹木分離法は、樹木との距離や雑草などの園地の特徴によって、正しく分離できないことが分かりました。一方、主成分回帰分析では、ボクセル化を行うことで手動の分離方法と近い結果を示し、樹木の葉数推定が可能であることが確認できました。
今後、樹木分離法を確立し、自動で葉数推定を行うことができるようになれば、栽培農家は経験と勘に頼らず、少ない作業量で必要なだけ摘果することができ、安定した生産につなげることができます。

受賞を受け、末廣さんは「センシングフォーラムで2年連続受賞することができ大変光栄に思います。ご指導くださった栗原先生、ご協力くださった高知大学の濵田 和俊准教授および関係者の皆様に心より感謝申し上げます。樹木分離法を検討する際、アプローチ方法があっているのか不安もありましたが、有効であることが確認でき、自信につながりました。研究を始めた当初の目標は、園地全体の葉数推定を10分以内、葉果比の誤差10%以内でした。実行時間の短縮は実現可能なところまできているので、後は、葉数推定に有効と考えられる特徴量を模索し、点群データを入力するだけで、葉数を程度推定できるシステムづくりに取り組みたいです」と研究への意欲を語りました。

※1 LiDAR(Light Detection And Ranging)とは、レーザー光を用いて距離センシングと二次元又は三次元の空間イメージングをレーザー画像から行う技術。
※2 SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)とは、自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術の総称。

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