2023.3.23在学生・保護者 / 地域・一般 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

先端機械・航空材料工学研究室の学生2名がJCOM若手シンポジウムで優秀発表賞を受賞

1月19日~20日の2日間、大阪公立大学杉本キャンパスおよびビデオ会議システムのハイブリッド形式で開催された「2022年度JCOM若手シンポジウム(JCOM Future Generation Symposium on Composite Materials 2022)」において、板谷 覚子さん(大学院修士課程 航空宇宙工学コース 2年・愛知県立西春高等学校出身)と大西 智樹さん(大学院修士課程 航空宇宙工学コース 2年・兵庫県立姫路東高等学校出身)が優秀発表賞を受賞しました。

本賞は、若手研究者発表セッションの発表者で、2022年4月1日現在満30歳程度までを対象に、講演原稿の書面審査、当日の口頭発表の審査により、優れた発表に対して贈賞されるものです。2022年度は11件の発表のうち、3件に優秀発表賞が与えられました。

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板谷 覚子さん(先端機械・航空材料工学研究室/指導教員:高坂 達郎教授
発表テーマ「CFRPの微小熱ひずみ測定用EFPIセンサの開発」

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複合材料の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、熱膨張が極めて小さな積層構成が可能であり、半導体製造装置や人工衛星など熱膨張を抑えたい機械部品に多く使用されています。しかし、微小な熱ひずみの測定を行うことが難しいことで知られています。本発表では、このCFRPの微小な熱ひずみについて、測定が可能な埋め込み光ファイバファブリ・ペロー干渉計(extrinsic Fabry-Perot interferometer,EFPI)センサの開発について紹介しました。ひずみ測定に適している光ファイバセンサのうち、ひずみ解像度が高く長期安定性に優れているなどの面からEFPIセンサを採用し、センサと測定システムの開発・微小な熱ひずみの測定試験を行い、さらに埋め込み性の向上のために、より細径な0.2ミリのEFPIセンサの開発に取り組みました。その結果、作製したセンサにおいて高いひずみ測定精度を達成しました。本研究が進むことで、埋め込みセンサによる微小な熱ひずみをリアルタイムで測定することができるようになります。また微小な熱ひずみを把握することにより、高精度な設計・組立が可能になることが期待できます。

受賞コメント:
2年連続受賞することができ大変光栄です。センサを壊さずに埋め込みするためにたくさん試行錯誤したので、結果がでた時はとても嬉しかったです。指導教員の高坂先生をはじめ、研究室のメンバーに感謝申し上げます。今春からは、宇宙エレベータの建設を進める大手ゼネコンで機械エンジニアの職に就きます。気配りができてメリハリのある社会人になれるよう精進していきます。

大西 智樹さん(先端機械・航空材料工学研究室/指導教員:高坂 達郎教授
発表テーマ「フレネル型センサによる複雑形状FRPの硬化度測定法の改良」

★8B0A2970.jpg ★大西さん研究風景8B0A2927.jpg

FRPとは繊維強化プラスチックという材料で軽量かつ高強度という特徴があり、近年ではこのような特徴から、航空機のみならず自動車やバイク・スポーツ用品等、様々な製品にも使われており、複雑形状のFRP製品が数多く開発されています。
複雑形状のFRP製品の成形においては、シミュレーションでは予測困難な樹脂硬化速度のムラが生じやすく、その結果、製品内部に残留応力が発生し、材料強度が損なわれてしまうという問題があります。本研究では、フレネル反射型光ファイバセンサを複雑形状のFRP製品に埋め込んだ際の埋め込み経路損失を定量化し、埋め込み安定性を評価すると共に、光ファイバを任意の埋め込み経路で編み込むことにより、7dBで50%のずれが生じていたのを5.07%まで低減することに成功しました。これにより、3D複雑形状の製品においても高精度の測定を可能としました。
この研究が進むことで、シミュレーション結果だけでなく、リアルタイムの実測値からも硬化速度のムラが発生しない最適成形条件が求められ、製品の成形条件が容易に決定でき、開発期間や開発コストを抑えられる事が期待されます。


受賞コメント:
研究内容が評価され大変うれしく思います。小さい頃から乗り物が好きで、特に飛行機を見た時に鉄の塊が空を飛んでいることに感動し、航空機に関する勉強をするために大学や研究室を選びました。空力性能向上のために様々な製品でFRPが使用される中で、少しでも複雑な形状の製品化に貢献できればと思い、研究に取り組んできました。自然豊かな環境でのびのびと研究に取り組むことができ最高の6年間でした。春からは社会人になります。携わったFERPを製品化する現場で活躍できるよう、より一層努力していきます。

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