2023.3.27在学生・保護者 / 地域・一般 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究

情報処理学会第85回全国大会 学生奨励賞を2名が受賞

谷 玲治さん(大学院修士課程情報学コース 2年・岐阜県立大垣商業高等学校出身)と、渡辺 奈実さん(大学院修士課程情報学コース 2年・岡山県立林野高等学校出身)が「情報処理学会第85回全国大会 学生奨励賞」を受賞しました。

情報処理学会は、コンピュータとコミュニケーションを中心とした情報処理に関する学術および技術の振興をはかることにより、学術、文化ならびに産業の発展に寄与することを目的とし、1960年に設立されました。学生奨励賞は、学生セッションで発表された学生会員の中から座長裁量で優秀な発表に対して贈られるもので、今年は1290名の中から286名が選出されました。

谷 玲治さん (修士課程 情報学コース2年)
指導教員:分散処理OS研究室 横山 和俊教授

★1E7A6061.jpg

谷さんの発表したテーマは、「ハードディスクの動作環境の違いを考慮した入出力性能調整法の実現と評価」です。

プログラムは、プロセッサ処理と入出力処理を繰り返すことでサービスを提供します。この処理の中で、実際に実行したい処理が、他の処理の増加により、制限されることがあります。利用者がこれら処理速度を制御できれば、計算機の利便性向上につながります。これまで谷さんの研究チームが提案していた入出力性能調整法では、オペレーティングシステム(OS)が入出力デバイスに同時に発行する入出力要求を許容値で制限すること、入出力処理実行後に目標の入出力時間になるまで遅延処理をすることで入出力処理時間を一定に調整していました。しかし、この方法ではハードディスク(HDD)間で挙動に差がありました。そこで、本研究では従来の方法では正しく動作しなかったハードディスクに対しても新しい調整機構による方法で、異なる複数のハードディスクに対応する方法を提案しました。本機構が搭載されたオペレーティングシステムが普及すれば、誰でも処理速度の制御が可能になります。

受賞を受け、谷さんは「学生奨励賞を受賞することができ、うれしく思います。ご指導いただいた横山先生をはじめ、研究を支えていただいたメンバーに感謝します。本研究を進めるにあたり、入出力機構のディスクまわりのハード・ソフト面の知識を勉強に苦労しながらも、機構を作成していきました。新しい方法を提案することができて良かったです。4月からは、システムエンジニアの職で社会人としての一歩を踏み出します。大学で培った技術力でお客様のニーズに応えられるよう、頑張っていきます」と語ってくれました。

渡辺 奈実さん(修士課程 情報学コース2年)
指導教員:分散処理OS研究室 横山 和俊教授

★1E7A6069.jpg

渡辺さんの発表したテーマは、「災害発生時における複数の情報拡散手段を組み合わせた避難手法の評価」です。

災害発生時の車避難は幼児や高齢者といった歩行が困難な人に必要です。しかし、車避難は土砂崩れなどによって発生する道路の寸断に遭遇すると引き返す必要があり、避難にかかる時間が延びることで2次災害に巻き込まれる危険性が高くなります。この問題を回避するには、道路状況を素早く収集し避難経路に含める必要があります。渡辺さんは4つの情報拡散手段(ラジオ・Twitter・無線通信(Bluetoothなど)・人づて)を利用してリアルタイムに道路の情報を提供・入手し避難所までの最短経路をシミュレーションしました。その結果、情報拡散手段を複数組み合わせて利用した場合に避難時間がより短くなることが確認されました。今後は混雑状況の共有や津波による道路の消失を考慮した手法への拡張が期待されます。

受賞を受け、渡辺さんは「今までの研究が評価され、とてもうれしいです。いつも丁寧に指導していただいた横山先生や研究室の皆様に感謝します。私は昔から災害発生時の避難について興味があり、しっかりとした研究活動ができると思い、横山先生の研究室を希望しました。プログラミングが苦手でしたが、先行研究を参考に、試行錯誤しながらシミュレーションを行いました。情報拡散手段の中でも例えばラジオだと国道の通行止め情報は正確に流すことができますが、リアルタイムでの配信は難しい、といった長所と短所があります。手段を組み合わせることでより効率的な情報収集が可能になることを提案することができました。今春からは情報通信の企業に就職します。大学で学んだ知識やコミュニケーション能力を発揮して、仕事に取り組んでいきたいと思います」と語りました。

RELATED POST

関連記事