2023.3.31在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

橋爪 見奈さんが日本機械学会中国四国学生会学生員卒業研究発表講演会で「優秀発表賞」を受賞

3月2日、日本機械学会中国四国学生会 第53回学生員卒業研究発表講演会がオンラインで開催され、橋爪 見奈さん(システム工学群 4年/東京都立白鷗高等学校出身)が、優秀発表賞を受賞しました。

同賞は、日本機械学会の学生員である大学4年生、高専5年生、専攻科生(1年生も含む)の中から、素晴らしい口頭発表を行った学生員に対して、その努力と栄誉をたたえ授与されます。

第53回学生員卒業研究発表講演会では、181件の発表の中から19件が選出されました。

★8B0A3214.jpg

橋爪さんは、航空エンジン超音速流研究室(指導教員:荻野 要介講師)に所属し、衝撃波による発光からの加熱を高精度に予測する研究に取り組んできました。

今回の講演会では、「大気圏突入環境を模擬した高温空気プラズマの発光分光計測」をテーマに発表しました。
宇宙飛行士が帰還する際や小惑星サンプルなどを地球へ持ち帰る際に使用されるカプセルは、非常に高速で大気圏に突入するため、その前方に強い衝撃波が発生し、カプセル前方の空気は非常に高温となります。その熱からカプセル内部を保護するために熱防護材が使用されていますが、加熱率を正確に予測することで安全性を確保しながらも防護材の使用削減を可能とし、ペイロードが減ることでロケット打ち上げコストの削減に繋げることができます。
そこで橋爪さんは、大気圏突入問題における輻射加熱率評価の高精度化を目的に、JAXAの相模原キャンパスにあるアーク加熱風洞で、高速・高エンタルピー気流を供試体に吹き付けることで供試体前方に衝撃波を形成し、大気圏突入環境を模擬した実験を行いました。衝撃層内の高いエネルギーを得た粒子は光としてエネルギーを放射し、その放射スペクトルを分光計測することで輻射加熱の実測が可能です。これまで行われてきたアーク加熱風洞における分光計測では、一度に広波長域の計測を行っている例があまり見られませんでした。本研究では、エシェル分光によって一度に広波長域かつ高分解能での測定を可能にしたAndor 社のMechelle 5000分光器を用いて分光計測を行い、輻射加熱の実測を行うことで、より正確な加熱率予測を目指しました。
その結果、酸素、窒素などの輝線スペクトルの特定と、400-975㎚における輻射加熱率を算出することに成功しました。

★8B0A3196.jpg

受賞を受け、橋爪さんは「まさか自分が受賞できるとは思っていなかったので驚きましたが、初めての学会発表で受賞することができうれしいです。小学生高学年の頃に、はやぶさが帰還するニュースをテレビでみて宇宙の研究に携わりたいと思っていました。指導教員の荻野先生は、ご自身の時間を割いて勉強会や報告会の場をつくってくださり、大学の授業では勉強しない研究に必要な知識を教えてくださいます。分光器の使い方すら分からない所から研究をスタートしたので苦労もたくさんありましたが、JAXAでの実験はとても貴重な経験になりました。春からは大学院に進学して、400nm以下を含めた広波長域での測定に挑戦します。入学した頃は自分が大学院にいくことは想像もしていませんでしたが、今は専門的なことを学び考える研究に面白さを感じています。将来は、宇宙開発に携わる職に就くとこが目標です」と語りました。

RELATED POST

関連記事