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- 松本 泰典教授らが「室戸海洋深層水を使った新製塩システムによる天然塩製造技術の開…
7月19日、地域連携機構主催の「地域連携セミナー2023」を開催し、企業や行政関係の方々など、来場者と配信視聴者合わせて約160名にご参加いただきました。
本セミナーは、本学の専門性に根ざした地域貢献事例を紹介し、地域の未来を地域の方々とともに考え、議論することを目的に2018年度から開催しています。
本年度2回目となる今回は、室戸海洋深層水株式会社 代表取締役社長 小松 静雄氏をお迎えし、地域連携機構 ものづくり先端技術研究室の松本 泰典教授とともに、「室戸海洋深層水を使った新製塩システムによる天然塩製造技術の開発」をテーマに講演、研究連携のきっかけや新製塩技術の開発秘話について語っていただきました。
室戸海洋深層水株式会社は、室戸市において、室戸沖水深約370メートルで取水した海洋深層水を原料として、食塩、にがり、脱塩水および濃縮海水の製造および販売を行っています。
セミナーの前半では、同社が本学との共同研究に至った経緯とその成果を紹介。
1998年の会社設立当初に行っていた結晶ハウスでの天日塩の製塩は、生産効率の低さが課題でした。そこで、2003年より、松本教授と共同研究を開始。減圧製塩装置の開発および逆浸透膜の導入により、天日塩と同質の塩を短期間で大量に生産することに成功しました。さらに、「スケール」と呼ばれる配管や釜の中に貼りつく硫酸カルシウムから硫酸イオン(SO4)のみを除去する膜分離法に成功し、それまでになかったカルシウムを含有するにがりを開発しました。小松社長と松本教授は、これにとどまることなく、多段逆浸透膜およびヒートポンプ式減圧濃縮装置の導入により、濃縮工程のエネルギー原単位93%削減という省エネルギーの新製塩システムを実現し、現在も、さらなる省エネルギー化と関連製品の高付加価値化に取り組んでいます。
後半では、小松社長が、現在、高知大学と共同でミネラル豊富な海洋深層水のにがりを活用した健康食品の開発を行っていることなどを紹介し、大学との共同研究で大切なことや「企業は、研究開発なくして、発展はありえない」という松本先生の言葉を借りて、今後も研究開発に取り組み続けてきたいと今後の展望を話しました。
最後に、「高知工科大学との共同研究により、将来においても存続可能な製塩システムが確立できたと思っています。ですが、まだ道半ばです。現在は、化石燃料を一切使わないカーボンニュートラルの製塩を目指しています。今後も関係機関と連携しながら、人口減少が進む室戸市で、地域経済の活性化に貢献できるよう会社を成長させていきたいと考えています」と述べ、セミナーを締めくくりました。
参加者からは「まさに産官学連携の代表例だと感じました」「他者からの助言や意見を聞いて前に進む、小松さんの柔軟な姿勢に感銘を受けました」「今朝も小夏にかけて食べたほど室戸海洋深層水株式会社のお塩のファンです。どのような経緯で共同研究がはじまったか、その開発秘話が聞けてよかったです」といった感想が寄せられました。
セミナーの内容は地域連携機構のYouTubeにてご覧いただけます。
次回は、9月20日(水)「建設現場で活躍する資材の無人搬送ロボットの開発」をテーマに有限会社サット・システムズ 代表取締役 猪野 真吾氏、前田建設工業株式会社 CIC 総合センター テクノロジーセンター長 安井 利彰氏およびシステム工学群 王 碩玉教授が講演いたします。
セミナーのチラシはこちらから
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