2024.1.15在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

寺内 俊輔さんが国際会議 TAAI2023でBest Paper Award を受賞

12月1日~12月2日に台湾で開催された、人工知能技術とその応用に関する国際会議 TAAI2023 (The 28th International Conference on Technologies and Applications of Artificial Intelligence) において、寺内 俊輔さん(情報学群 3年・福島県立郡山萌世高等学校出身)がBest Paper Award を受賞しました。
国際論文トラック約130件の論文の中から最も優れた研究論文として贈られたものです。

★★20231201-P1090457.jpg

受賞テーマは「Using Strongly Solved Mini2048 to Analyze Players with N-tuple Networks(ミニ2048の完全解析の結果を⽤いたNタプルネットワークプレイヤの解析)」です。

寺内さんが所属する高度プログラミング研究室(指導教員:松崎 公紀教授)では、世界的に人気のあるパズルゲーム『2048』※1を題材に、優れたコンピュータプレイヤの開発を進めています。これまで、ニューラルネットワークプレイヤ※2の内部動作を解析して、3層以上のニューラルネットワークによるプレイヤの性能が高い理由を解明しました。

AIプレイヤの一種であるNタプルネットワークプレイヤは、2048 において一番強いとされています。今回、寺内さんらは、Nタプルネットワークプレイヤがなぜ強いのか、その理由を探るため、ミニ2048ゲームの特性の分析とNタプルネットワークプレイヤの詳細分析に取り組みました。具体的には、ミニ2048でゲームの完全解析の追試を⾏い、その結果を用いて、必ず正解を選ぶパーフェクトプレイヤを作成しました。次に、パーフェクトプレイヤとNタプルプレイヤを⽐較することで、Nタプルプレイヤの特性を分析しました。これらの結果、ゲームの特性では、連続する大きなタイルのダウングレーディングが有効であること等を確認。また、Nタプルネットワークの特性については、ゲームの中で難しい場面の学習が成功していること等のニューラルネットワーク間の類似点と⾮類似点を発見しました。

未だ未解明なことが多いNタプルプレイヤの特性について、個別の技術がゲームに及ぼす影響を分析したことは、大きな前進といえます。今後、より詳細な実験と分析を行ことで、最良のアプローチを証明することにつながります。

★★8B0A9737.jpg


この度の受賞に寺内さんは「まさか受賞できるとは思ってもいなかったので驚きました。研究成果が認められ非常に光栄です。学会で発表してみたいと松崎先生に申し出たところ、今回の国際会議での発表機会をいただきました。この場をお借りして感謝申し上げます。自分の書いたプログラムでプレイヤが目に見えて強くなるので、ゲームの研究は楽しいです。今後は、GoogleのDeepMindから提案された様々なゲームに適用できるAlphaZeroプレイヤが強い証拠を見つけて、場面場面で強い技術を採用できる新たなゲームプレイヤを開発したいです」と喜びと今後の抱負を語りました。

*1)2048:
2014年に公開されたゲーム『2048』はとても有名になり、さまざまなクローン(類似アプリ)が作られました。最近リバイバルしている『スイカゲーム』にも通ずるところがあります。

*2)ニューラルネットワークプレイヤ:
AIコンピュータプレイヤの一種。人間の脳の神経回路網をコンピュータ上に実現する仕組みのことをニューラルネットワークと言います。DeepMindがAlphaZero手法を用いて作成したニューラルネットワークプレイヤは、「2048」で平均得点が55万点近くになり、人間プレイヤをはるかに超える強さになっています。

RELATED POST

関連記事