2024.3. 7在学生・保護者 / 地域・一般 / 学群・大学院 / 研究

環境建築デザイン研究室の展示会「環展」を開催しました

3月1日~3月3日、香美キャンパスで、 システム工学群 環境建築デザイン研究室(渡辺 菊眞准教授)の設計作品を紹介する展示会「環展」を開催しました。

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環境建築デザイン研究室では、自然作用を建築的工夫により最大限いかすために自然環境を把握し、同時に地域の歴史や風土などの文化環境を読み解き、双方に呼応する総合的な環境建築を提案することをめざしています。
会場では、研究室に所属するすべての学生それぞれが本年度最も力をいれた設計作品13点が、模型やパネルなどで紹介され、建築構想の深さや斬新性、未来社会に与えるワクワク感が伝わってきました。

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犬塚 健斗さん(学士課程4年・愛知県立西尾東高等学校出身)の卒業設計:
「大川村の未来を紡ぐ痕跡と資源の再編」

高知県の最北端に位置する山村、大川村。かつては鉱山産業で栄えた。しかし、鉱山の閉山と早明浦ダム建設に伴う村の中心部の水没により、村は衰退の一途をたどっている。大川村には鉱山跡地をはじめ、かつて栄えていた頃の痕跡が多くある。また、自然資源や人的資源も豊富である。大川村は新規事業への予算を十分にあてがうことができず、あらゆるものが痕跡化してきた。そこで、大川村の未来を紡ぐために、大川村にある痕跡や資源を手掛かりに生産的で持続可能な事業の再編を提案。痕跡、資源が散在している状況を適材適所でうまく組み合わせ、一つの建築として紡ぎあげた。

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伊藤 優汰さん(修士課程2年・高知県立高知小津高等学校出身)の修士設計:
「与島に立地する浦城・穴部集落の存続に向けた空間設計」

香川県坂出市の塩飽諸島に属し、瀬戸大橋上、唯一パーキングエリアのある与島。その中で瀬戸内海に正面を向く、規模の大きな屋敷地や神社・集会所などの公的機能を持つ浦城集落と、人が住むことに特化した穴部集落の2つは、互いに役割を担いあい、「二つで一つの関係性」を形成、存続をしてきた。かつては千人を超えた人口も現在は60人程になっており、2つの集落の消滅は時間の問題と言われている。そこで、集落存続のために、屋敷跡地を対象に、ヤシキフレーム、水回りコアを併せもつレンタル跡地を設計し、「新たな二つで一つの関係性」を創出した。

展示最終日には審査委員によるレクチャーと作品講評会が行われ、優秀な設計作品を創作した学生が表彰されました。レクチャーでは建築家としてのさまざまな視点による、建築の本質と建築のこれからあるべき姿が披露され、学生は深い感銘と学びを得たようでした。また、講評会の後、審査委員の皆さんからは、学生の「敷地を見出す」視点の豊かさ、発想の自由さ、制作への情熱から、大きな刺激を受けることができたといった感想をいただきました。

受賞作品

【金賞】伊藤 優汰さん「与島に立地する浦城・穴部集落存続に向けた空間設計」
【銀賞】牧田 貴一さん「フィールドスペシフィック・ミュージアム」
【銅賞】犬塚 健斗さん「大川村の未来を紡ぐ痕跡と資源の再編」
【新人賞】水野 雄高さん「くぐるいえ」
【審査委員特別賞(高橋賞)】伊藤 夏生さん「日常に潜むいのりの空間を巡り、地域を想う」
【審査委員特別賞(中川賞)】水野 雄高さん「くぐるいえ」
【審査委員特別賞(大和賞)】関口 明日香さん「100年引き継がれてきた空間を未来へ」

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