2024.3.22研究 / 研究者・企業

視覚運動誤差の修正に関わる脳領域を解明、竹田 昂典助教が日本ヒト脳機能マッピング学会の若手奨励賞を受賞

2月23日~24日、ライトキューブ宇都宮(栃木県)で開催された「第26回日本ヒト脳機能マッピング学会」において、総合研究所脳コミュニケーション研究センターの竹田 昂典助教が、若手奨励賞を受賞しました。
同賞は、優秀なポスター発表を行った35歳以下の筆頭発表者に対して贈られる賞です。

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発表テーマは「到達運動課題中の視覚運動誤差に対する修正行動に関与するヒト脳内神経基盤の解明」です。
新たな運動技能を短期間で習得するためには、反復練習において生じる運動や感覚の誤差を適切に処理する必要があります。これまで、運動中に視覚誤差が生じた際に活発化する脳領域は解明されていましたが、視覚誤差が発生した後の誤差修正行動に関わる脳領域はわかっていませんでした。

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本研究では、この視覚運動誤差が発生した後の修正行動に関与する脳領域を明らかにすることを目的とし、機能的磁気共鳴画像法(fMRI )を用いて、運動開始前の運動計画時および運動実行時に着目した実験を行いました。実験参加者がfMRI計測中に右手でマニピュランダムと呼ばれる機器のアームを保持し、手首を動かして画面上のカーソルを操作。「視覚運動誤差がない試行」、「視覚運動誤差としてカーソルの操作中に軌跡が傾いて表示される試行」、「視覚運動誤差が発生した直後の誤差がない試行(修正しようとする時)」の3つの条件で行いました。

その結果、運動開始前において、視覚運動誤差に対する修正の計画に広範囲の大脳皮質、小脳および被殻が関わっており、効率的な運動誤差修正による運動技能の習得に貢献している可能性が示唆されました。

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受賞を受け、竹田助教は「院生の時から参加している学会で受賞できるとは夢にも思っていませんでした。輝かしい賞を頂けて大変光栄です。今後は、経時的な変化をより細かく検証できる脳波計を使って、詳細な脳活動を観察してみたいと思っています。また、低次と高次の脳機能の知見をつなぐような研究に取り組み、脳の仕組みの解明に貢献したいです」と意気込みを語りました。

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