2024.3.29地域・一般 / 地域貢献 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

ITを活用して地方公共交通の効率的な運用に貢献、重山 陽一郎教授らがアーバンデータチャレンジ2023でW受賞

3月9日、東京大学駒場リサーチキャンパスで開催された「アーバンデータチャレンジ2023 with土木学会インフラデータチャレンジ2023」で、一般社団法人シンギュラリティ・ソサエティと本学 地域連携機構 地域交通研究室の重山 陽一郎教授が共同で発表した「地方公共交通の運用の効率測定を自動化するMaaS DXサービス」が、「GTFS賞 優秀賞」と「ビジネス・プロフェッショナル部門 優秀賞」を受賞しました。

アーバンデータチャレンジ2023は、地方自治体をはじめとする各機関が保有する社会基盤情報の公開・流通・利用の促進に向けた取組として、オープンデータ等を積極的に活用し、地域課題の解決に効果的なアプリケーションや活動等を募集するコンテストです。
今回は、応募総数131件の中から19件がファイナリストとして最終審査会に臨みました。

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地方都市では、過疎化や高齢化に伴う乗務員の不足が深刻で、公共交通の維持が困難になっています。自治体が運営するバスを効率的に運用するためには、路線や便、バス停の場所などを再編することが求められていますが、そのためには、バス停ごとの詳細な乗降客数を把握する必要があります。これまでは、専用の人員をバスに同乗させて記録する方法がとられてきましたが、人件費がかかるため、年1回程度が限度であり、効率的な運用の基礎データとしては不十分でした。また、この記録も紙のメモを利用していたため、後で表計算アプリに入力し直す必要がありました。

このような問題を解決するため重山教授らが開発したのが、「乗降客数カウントアプリ」です。乗務員は、運転席に設置されたスマートフォンで、乗降が発生するたびに、その人数分だけ「+」か「-」のボタンを押すという、とても簡単な操作としました。便名やバス停名や時刻などの記録は、GTFS(General Transit Feed Specification)データを活用し、路線・便・時刻表・バス停名称・バス停の緯度経度のデータを全て自動で取得、乗務員のデータ入力の手間やヒューマンエラーも削減しました。また、運行が終われば、すぐに全ての情報がデジタル化された状態でクラウドに出力され、自治体の負担も増えません。さらに本アプリは、車両の運行前点検にも対応しており、従来、点検項目が列挙された紙のメモに「○」「×」をつけてきた作業は廃止、スマートフォンへの入力により、クラウドの一覧表に結果が記録される仕様としました。
その結果、簡単、便利、安価にデータの取得と分析が可能になり、路線再編などによる効率化と公共交通の維持に貢献することができます。

審査会では、アプリの細かい作り込みが現場に寄り添っており現場レベルで有用性を実感できること、利用実績の情報公開、さらには政策反映の見える化などにも期待が高いことなどが評価され、受賞の運びとなりました。

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受賞をうけて、重山教授は「受賞できて光栄です。社会貢献は大学の大切な使命の一つであり、かつ交通問題は私の専門である土木工学で解決すべき課題です。今後も、背伸びしないDX化によるアプリを開発し、乗務員と自治体の負担軽減や、効率的な運用による利用者の利便性の向上を目指していきます」と語りました。

最終審査会はこちらからご覧いただけます。
(重山教授の発表は、3:38:30頃です)

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