2024.7.31学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

穐山 育歩さんがナノ学会第22回大会で若手優秀ポスター発表賞を受賞

穐山 育歩さん(修士課程 化学コース2年・岡山県立西大寺高等学校出身/指導教員:理工学群 大谷 政孝教授)が、「ナノ学会第22回大会」の若手優秀ポスター発表賞を受賞しました。

今大会は、東北大学 青葉山新キャンパスで2024年5月22日から24日に開催され、全国の大学・研究所・企業等からナノサイエンス・ナノテクノロジーに関係する様々な分野の研究者が集い、活発に討論を行いました。穐山さんが参加したポスター発表では85件の発表があり、35歳以下の若手研究者・学生の中から9名の発表者に「若手優秀ポスター発表賞」が贈られました。

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穐山さんが発表したテーマは、「亜鉛-ベンズイミダゾレート配位ネットワークのゲートオープン型CO2 吸着機能に及ぼすホウ素ドープ効果」です。

高性能なガス吸着材料の開発は、化学工業における重要な課題の一つです。特に、CO₂を選択的に認識して吸着・分離することが可能な新たな材料の開発が望まれています。穐山さんは、選択的なCO2吸着を示す多孔性結晶材料の一つである「ZIF-7」に着目し、そのCO2吸着特性を制御することを試みました。その結果、骨格を繋ぎ止める金属イオンの一部をホウ素に置き換えることで、CO2吸着特性に顕著な変化が見られることを見出しました。また、ホウ素が導入されたZIF-7結晶は内部に対アニオンを包接した状態で形成されますが、その対アニオンの種類に応じて最大CO2吸着量と吸着開始圧力が大きく変化することも見出しました。骨格構造を部分的に異元素に置き換えるだけでCO2吸着特性が劇的に変化する前例のない現象を見出したことが高く評価され、今回の受賞に繋がりました。

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穐山さんコメント
「大谷先生をはじめ、共に研究を進めてきた研究室の皆様の協力に感謝しています。細孔に内包された対アニオンの種類によってCO2吸着挙動が変化する理由を解釈することに苦労しましたが、その成果が多くの方に高く評価されたことは大変嬉しく思います。今後も研究に一層精進し、CO2吸着材料のさらなる高機能化を目指します」

※ナノ学会とは、1997年に設立された「超微粒子とクラスタ―懇談会」を前身とし、ナノスケールの原子・分子集団が示す特異な現象や新たな機能を探究する「ナノサイエンス」と機能性材料の開発やバイオ・医療分野への応用を開拓する「ナノテクノロジー」を基盤に、現代社会における課題の解決に資する学術を先導することを目的に、2003年に設立された学会です。

穐山さんらが発表した論文がアメリカ化学会の学術論文誌に掲載されました。詳細はこちらから

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