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- 小川 歩華さんが第44回医療情報学連合大会で「優秀口演賞」を受賞
小川 歩華さん(修士課程 情報学コース2年/指導教員:コミュニケーション&コラボレーション研究室 敷田 幹文教授)が、2024年11月「第44回医療情報学連合大会」で行った発表が「優秀口演賞」に選ばれ、7月4日、表彰状が授与されました。
医療情報学連合大会は、約4,000人が参加する医療情報学分野最大の学術交流の場で、優秀口演賞は、約200ある一般口演のなかから特に優れた3演題にのみ授与される賞です。世代や立場を問わず、すべての口演発表から選ばれるため、学生が受賞するのは快挙といえます。
今回、小川さんが受賞した発表は「生成AIによる症例報告を元にした医療面接指導用模擬患者シナリオ自動作成の提案と作成シナリオの評価」です。
医学・医療教育の現場では、患者から病状や健康状態を聞き出す問診(医療面接)技能を高めるため、「模擬患者」と呼ばれる患者役を立て、事前に決められたシナリオに沿って対話する実技演習が行われています。
近年では、すべての医学生に対し、この演習が試験で必須化されるなど、その重要性が増すなか、様々な疾患に対してシナリオをつくり、模擬患者の養成と確保を担う「指導医」の負担が大きすぎるという課題も指摘されています。
そうした背景から小川さんは、金沢医科大学 総合内科学・医学教育学の八木 邦公教授らの協力を得て、卒業研究では生成AIを用いた模擬患者とチャットで対話できる医療面接練習システムを開発。
修士課程1年のときには、練習で使えるシナリオを数多く作成するため、臨床医が学会などで共有する「症例報告」をデータソースとして活用。生成AIにその情報を整理させ、不足している部分を補完させることで、リアルな医療面接シナリオを自動で作成できるようになりました。
今回受賞対象となったのは、このシナリオを自動で作成するシステムについてです。
さらには現在、このシステムを英語での医療面接の練習にも応用。AI模擬患者との医療面接を試みた医学生に評価をフィードバックするシステムも、研究室の後輩の協力を得てつくりあげました。
3年足らずで、生成AIを基盤とした医療面接練習システム全体を構築した小川さん。今回の受賞について「自分の研究テーマが時代に合っていたという幸運もあった」と冷静に受け止めつつも、「研究を始めた当初は、AIの回答が不自然であるといった批判的な意見もありましたが、今回評価していただけたことは、医学界におけるAIへの考え方が変化してきている証だと感じています。新しい技術を用いて医学教育に貢献できるような提案を続けたい」と喜びと抱負を語りました。
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