キラル光機能物性研究センター
センター概要
目的
自身とその鏡像が一致しないことを、キラルな性質あるいはキラリティ(対掌性)と呼びます。物質の化学構造や配列構造のキラリティは天然・人工を問わず様々なところに存在し、医薬品の効果や機能性材料の特性などを決定づける重要な要因です。一方、光がもつ波としての振動方向(偏光)あるいは位相分布のキラリティはそれぞれ円偏光、光渦と呼ばれ、物質の選択的検出やバイオセンシング、次世代の光情報処理に応用されています。
本研究センターでは、光と物質の相互作用を巧みに制御することで、特に光波と物質がもつ複数のキラリティが互いに強く協奏して発現する新奇な光物性科学の学理を構築し、次世代光技術としての昇華を目指します。
センター構成員
研究方針と今後の展望
本研究センターでは、実験、理論、シミュレーション技術を駆使し、光波の複数の特徴同士や複合化された物質同士、そして光波と物質が協奏することによって産まれる新たな機能を創り上げていきます。
キラルな環境によって誘起されるキラル光学特性
光を吸収・放出する色素化学種をキラルな物質と複合化することによって円偏光への応答を発現させます(物質と物質の相互作用)。簡便かつ汎用的な複合化手法を確立することによって多様な色素化学種を用いたキラル光学応答システムを構築します。
キラルな媒体物質のマクロ挙動
キラルな媒体物質のマクロスケールな振る舞いを光渦によって制御します(光波と物質の相互作用)。物質と光波のキラリティの組み合わせによる挙動の違いを通してそれぞれのキラリティの効果を明らかにします。
円偏光と光渦が協奏する新たなキラル光科学現象
色素とキラルな媒体を複合化した物質による円偏光と光渦の入出力挙動を精密に制御し、光波のもつ2種類のキラリティが強力に連動することで発現する新奇なキラル光科学現象を創出します。