2017.9.14在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

空気調和・衛生工学会大会で磯部学長が講演しました

9月13日~15日、香美キャンパスで開催されている、空気調和・衛生工学会主催の同学会「平成29年度大会(高知)」(受入れ教員:システム工学群 田島 昌樹 准教授)の初日、磯部 雅彦 学長による「東日本大震災を契機とする災害対策の新たな考え方」と題した公開講演会が開催されました。


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講演では、まず、東日本大震災のデータから、大規模津波発生のメカニズムを科学的に解き明かし、釜石湾の破壊された離岸堤が津波を大幅に減殺していることや、津波による堤防破壊を、流体力学的観点から解説し、堤防の陸側を強化する等の「粘り強い構造物」による海岸保全が重要であることを説明しました。

また、それらの教訓から、中央防災会議等で津波対策が検討され、堤防等により浸水を防ぎ、人命はもとより経済活動の安定化を最大限に図るのは、発生頻度が高く、津波高は低いが大きな被害をもたらす津波(レベル1津波)を対象とし、1,000年に一度といわれる最大クラス(レベル2津波)には、避難を中心とした人命を守ることを最優先とし生活や産業に対する被害を最小化するとの方針が出され、この考え方で東北地方の復旧・復興はもとより、南海トラフ地震津波に対しても、同様に防災システムの構築が進んでおり、2年前に水防法も改正され、高潮、河川洪水、内水氾濫に対してもこの考え方が採用されていることを説明しました。

続いて、高知県で将来必ず起こる南海トラフ地震について、被害の歴史、県内各地での津波到達の想定を説明すると共に、県知事を先頭に、高知県沿岸各地に多数整備された津波避難タワー、高知市で対策が進む、高知港の三重防護計画等、先進的な津波防災対策について説明し、最後に「高知県は南海トラフ巨大地震の脅威はあるが、プレートの動きで隆起してできた鉱物資源、室戸岬や龍河洞、四国カルスト、桂浜の五色の砂浜などの大自然を活用した産業・観光振興が行えるなど、多大な恩恵も受けている。自然災害と向き合って賢く避けつつ、より良い生活を成り立たせることが重要である」とのメッセージで締めくくりました。

本講演会には、学会の研究者、本学の教員、学生、高知県関係者、地域の方々など200人余りが参加し、終始熱心に聴講され、講演後の質疑応答では、高知県沿岸地域の津波対策の進捗や土地の有効活用の状況等についての質問があり、閉会後も名刺交換しながらの質疑応答が続くなど、有効な情報交換の機会となりました。

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