2018.11.28地域・一般 / 地域貢献 / 研究

イブニングセミナーで「景観デザイン」について紹介しました

11月21日、本学の地域・文化交流施設"Cross Square"にて「イブニングセミナー2018」を開催し、重山 陽一郎 教授(システム工学群 景観デザイン研究室)が、自身の手がけた『天神川水門(島根県松江市)』と『とさでん交通バス路線図』のデザインを事例に、公共的な構造物等のデザインは設計者の趣向だけでなく論理的に決まる過程について紹介しました。

本セミナーは、地域の課題や将来について、本学教員の研究テーマを通じ地域の方々が気軽に議論する場を設けたいと高知工科大学 地域連携機構が主催しています。
今年度4回目となる今回も、高校生や地域の方々約30名が訪れ、熱心に耳を傾けました。

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『天神川水門』は、島根県松江市の宍道湖と天神川の合流部に設置された水門です。
天神川の氾濫を防ぐという本来の治水施設としての機能はもちろん、設置場所が松江市景観計画において夕日の展望台として位置づけられ、周辺は美術館や公園などの美しい水辺空間が整備された景勝地であることから、水門にも周辺景観との調和に配慮したデザインが求められました。
そこで重山教授は、夕日が沈む宍道湖への眺望を妨げないよう「門柱のないゲート」「透過性に配慮した防護策」「周囲の景観やその土地の文化に配慮した操作室」「宍道湖を眺望する新たな視点場としての管理橋の一般開放」など細かい部分まで心を配り、松江市景観審議会などにも確認しながら丁寧に進めたデザイン過程を紹介しました。

*天神川水門は「2016年度土木学会デザイン賞最優秀賞」「2015年度しまね景観賞大賞」を受賞しています。

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また、重山教授は土木建築物とは異なる『とさでん交通バス路線図』のデザインについても触れ、「バス停・全体路線図・各バス停路線図・時刻表・乗り換え案内サイン・バスの系統番号化」などを総合的にデザインした過程を紹介しました。
「バスは鉄道と違い小回りが利いて、きめ細かいサービスができるところがメリットである分、路線図は複雑で分かりづらくなり、デザインには苦労しました。しかし、近年ではバス路線の統廃合が進み、路線図から線が少なくなっていますね」と語り、観光客など普段乗らない人の目線に立った路線図・系統番号などをデザインすることで新規ユーザー獲得につなげ、公共交通の利用促進に貢献したいとの思いを述べました。

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参加した高校生は「大学主催のセミナーは内容が難しいのでは?との不安もありましたが、参加してみると話も分かりやすく楽しかったです。大学は高校と違い、自分の興味がある事を専門的に深く追求する事ができ、自分の世界が広がるのだなと思いました。また、地域の為に景観やバス路線図をデザインしていて、県外にも貢献していることを知り、凄いと思いました」と振り返ってくれました。

次回は1月16日(水)に、高木 方隆 教授(システム工学群)が「里山プロジェクト」について紹介します。
次回が今年度最終回ですので、ご興味のある方は是非ご参加ください。

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