2018.9.14在学生・保護者 / 地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

「地域における建築文化」についてイブニングセミナーを開催しました

9月12日、本学の地域・文化交流施設"Cross Square(クロススクエア)"にて、「イブニングセミナー2018 第3回目」を開催しました。
本セミナーは、地域の課題や将来について、本学教員の研究テーマを通じ地域の方々が気軽に議論する場を設けたいと地域連携機構が主催しており、今年度は「防災とBCP]「これからの地域交通」などテーマを変え全5回の開催を予定しています。

★8B0A2024.jpg

第3回目は「地域における建築文化」をテーマに渡辺 菊眞 准教授システム工学群 環境建築デザイン研究室)が登壇しました。
渡辺准教授は、国内外の様々な地域で提案・建築してきたプロジェクト事例を紹介しながら、
「そこに住む人々の生業や社会の仕組みが刻まれた"地域環境"とその場所に立つ"地域建築"の関係性を読みとき、地域の建築文化を明らかにすること。そして、地域の建築文化を継承しながらも、現在の都市開発や社会問題等からも目を反らさず、双方を重ね合わせて新たな建築の可能性を探ると、地域にとってよりよい建築文化や未来が拓けるのではないか」と、参加した高校生や仕事帰りの会社員、公務員など約30名の方々に投げかけました。

★8B0A2007.jpg

中でも、本学の地元である高知県香美市の佐岡地区に立つ「金峯神社」の再建プロジェクト(第5回高知県建築文化賞 高知県知事賞 受賞作品)について話が及ぶと、地域に根付いてきた歴史ある神社が地方山間部の高齢化・過疎化の問題の中で社殿崩壊の危機に瀕していたという身近な事例に、参加者は息をのんで聞き入っていました。

そして、神社が持つ歴史(過去)と、氏子の高齢化問題(現在)の状況を重ね合わせ、本殿は森に残し拝殿は人が参拝しやすい里に下ろす"分割造替"という新たな道を選択したこと。里に下ろした拝殿では、高齢となり参拝できなくなっていた旧氏子も参加して10年ぶりに神祭が復活したことなどのエピソードが紹介され、
参加者からは、「地域の神社の造り替えという発想はなく、さらにそれを大学の研究として取り組まれていることに驚いた。地域には老朽化した神社が沢山あり、それを造り替え未来につなげていくには、宗教観など地域の意識や考え方等を正確に知った上で考える必要があることを知り、大変関心を持った」などの感想が寄せられました。

 ★8B0A1969.jpg★8B0A1993.jpg 

また、渡辺准教授の活動を新聞等で知り興味を持って参加したという建築資料研究社に勤務する藤田様は、
「地域の課題に向き合う問題意識が高い方は、地域の中に散在しており、そういう人を繋いで動かすことが重要と考える。例えば空き家の問題を考える上では、建て替え時には建築基準法等の法律の知識が必要で、事業化には需要と供給などマーケテイング分野の専門知識も必要となる。そのためには、どこに・どの分野の専門家がいるか知っておくことや、地域に若者の専門家を育てることも重要であり、本イベントは、そういった地域課題に向き合う方々が自ずと集まる重要な出会いの「場」にもなっている」と語ってくれました。

★8B0A2033.jpg

渡辺准教授も講演の中で「地域の現状・課題に諦めず向き合い、出来ることを探し取り組んだ、たった一人の新たな試みが、周囲に伝播してその後の地域の建築文化を形づくった例もある」と紹介していました。
本イベントが、地域課題に向き会おうとする人同士の出会いの「場」として機能する可能性があり、そういった方が今後地域のよりよい未来をカタチづくることもあると考え、本学としても本取り組みを継続していきたいと感じました。

渡辺准教授の研究室の取り組みを紹介する展示会を香美市役所で9月14日まで開催しています。
是非お立ち寄りください。
★8B0A1900.jpg
>>>展示会詳細はこちら

>>>今後のイブニングセミナー開催予定はこちら

RELATED POST

関連記事