2018.12.28在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

学生が高知化学会会長賞を受賞しました

機能性高分子化学研究室(杉本 隆一 教授)に所属するZhao Chaoさん(大学院博士後期課程 基盤工学コース 3年)と西村 侑樹さん(環境理工学群 4年)が「第17回高知化学会会長賞」を受賞し、12月21日に高知大学朝倉キャンパスで行われた授賞式および受賞記念講演会に出席しました。

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高知化学会は、化学講演会、出張講義、高校生・中学生のための化学実験講座など多彩な事業を展開し、化学の普及と活性化、化学を目指す若い世代の育成、地域産業の発展などに寄与する目的で活動する組織です。

同賞は、高知県内の高校・高専・大学・大学院で学び、優れた研究を進めている学生に贈られるもので、受賞した2人は現在研究を進める以下の題目で記念講演を行い、研究概要や受賞の喜びなどを語りました。

Zhao Chaoさん
記念講演題目「Simple Method For Synthesizing Ultra-high-molecular-weight Polystyrene through Emulsion Polymerization Using organometallic compounds(有機金属化合物を用いた乳化重合による超高分子量ポリスチレンの簡易合成法)」
アルキル亜鉛やアルキル硼素などの有機金属化合物は、少量の空気や水に触れるだけで激しく反応して燃える非常に不安定な化合物ですが、一方で重合の開始剤として優れた開始特性を持つことが50年以上前から知られています。しかしこれらの化合物は取り扱いが難しいため、その後はほとんど検討されていませんでした。私はこれらの化合物を環境に優しい水の中でも取り扱えるように安定化を図ることで、これまで不可能と考えられていた水中でラジカル重合(高分子化学の重合の一種)を実施することができるのではないかと考えて研究を始めました。
今回の研究では「スチリル-9-BBN」というホウ素化合物や「ジエチル亜鉛/1,10-フェナントロリン錯体」を合成し、それらを用いることで水溶液中でのスチレンの乳化重合が可能であること、そして合成の難しい超高分子量のポリスチレンを室温でも容易に合成することができることをはじめて報告しました。私はこの特性を利用して、さらに新しい用途に広げていくことで市場におけるジエチル亜鉛等の有機金属化合物の応用分野を拡大したいと思い研究に取り組んでいます。

西村 侑樹さん
記念講演題目「トリブチルボランを用いるポリオレフィンへの極性モノマーのグラフト重合」
高分子化合物は身の回りのあらゆる所に用いられており、今では私たちの生活に欠かせない物の一つだと考えています。そのような化合物を自分の手で合成したり、新たな機能を付与できることに魅力を感じ、この研究分野を選びました。
私は、汎用プラスチックとして幅広い用途に用いられるポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系材料に関する研究を行っています。ポリオレフィン系材料は強度・耐薬品性に優れている一方で、分子内に極性基を持たないため接着性・塗装性に劣っています。現在は物理的な表面改良により克服しようとしていますが効果は時間とともに低下するという問題があります。この問題の解決のため、トリブチルボランと酸素をラジカル開始剤として用い、アクリル酸や無水マレイン酸といった極性基を有するモノマーをポリプロピレンにグラフト重合する方法を検討しています。
自分で合成したポリマーの物性が目に見えて変化することは大変面白いと思います。測定機器の操作および実験方法を丁寧に教えてくださった杉本先生をはじめ研究室の皆さんに感謝し、今後はより高い目標を達成するため更に実験に励みたいと思います。また、後輩に適切な助言ができるよう精進したいです。


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