2019.2.12在学生・保護者 / 地域・一般 / 地域貢献 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

地域連携カフェ「東日本大震災からの復興事業からみたコーディネーションのありかた」を開催しました

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2月9日、高知工科大学 地域連携機構が主催する「第26回 地域連携カフェ」を永国寺キャンパスで開催しました。

地域連携機構は、自治体等で公共政策に関わる方や、地域活性化に活躍される学内外の方を話題提供者として招き、参加者と気軽に意見交換ができる場を作ろうと、平成23年より「地域連携カフェ」を開催しています。
26回目となる今回は、「東日本大震災からの復興事業からみたコーディネーションのありかた」をテーマに、地域産業再生や地域活性化に向けた連携事業を展開されている4名を招き、基調講演や事例紹介、パネルディスカッションを行いました。

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基調講演では「蘇るサバ缶」の執筆者 須田 泰成 氏が登壇し、著書の中でも語られており、自らが中心となり展開された、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の水産加工会社と世田谷区経堂商店街の連携事例を紹介しました。
津波で壊滅した工場跡地に埋まる泥だらけの缶詰を一つ一つ洗って売り、そのお金を復興資金として送った経堂商店街の素早く広域な被災地との連動を可能にしたのは、"なにかあったらこの人のために動きたい"と思えるほどの強い繋がりが、経堂商店街の中で地域や立場を超えて日常的に醸成されていたからだと語りました。

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また、本学との産学連携事例も2件紹介され、 釜石ヒカリフーズ株式会社 代表取締役 佐藤 正一氏と、本学の松崎 了三 特任教授が登壇しました。

被災地域で暮らす人々の雇用の受け皿になることを目指し震災の約5か月後に釜石ヒカリフーズ株式会社を創業した佐藤氏は、地元資源である水産物の付加価値やブランド力向上に向けて、JST(科学技術振興機構)復興促進センターのマッチングプランナーを通じ、本学システム工学群 松本 泰典 准教授の研究シーズ「スラリーアイス製造技術」と連携したことを紹介しました。そしてこの連携が、鮮度保持技術を向上させ広域の流通をつくり、会社の信頼性の向上や新規プロジェクトにも繋がっていった産学連携の成功例だと語りました。

南海トラフ地震で最大34mの津波到達が想定されている高知県黒潮町で、自治体とともに防災備蓄缶の開発に取り組む松崎 了三 特任教授は、この"缶詰作り"を通して産業推進・雇用開発を含む総合的な地域づくりを行っていることを紹介しました。そして事業や地域づくりを成功させるためには、モノゴトにメッセージ性を持たせ日常的に情報発信することが重要で、そのためにはそれに携わる者が本気であることが不可欠と語りました。

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最後に行われたパネルディスカッションでは、講演者3名およびJSTの元復興促進センター盛岡事務所長の箭野 謙氏が登壇し、今回のテーマに興味を持ち参加した企業経営者・行政職員・地域の方々、本学学生など約60名と活発な意見交換が行われました。
連携事業に熱意ある参加者が会場に集まっていたこともあり、新たな繋がりが生まれるなど、テーマ通りの場としても機能していました。

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イベント後、参加した会社役員の町田さんは、「経堂商店街のお話を聞き、長屋的なコミュニティーから様々な拡がりが生まれていることに感動しました。須田さんが高知の事をよく知っていて地元のキーマンとも深く繋がっていることに驚きました。我々高知の関係者も須田さんの様に地元を知り、そういった繋がりを大事にすべきだと感じました」と感想を述べました。


また、本学の学生団体『商品開発部』と『防災ボランティア団体KPAD』の学生からは、「仁淀川町沢渡地区の土佐茶を生かした地域おこしに関わらせていただいており、商品にどのようなメッセージ性を持たせて売り出すのかを学生の発想で提案したいと思いました。そのためにも高知のことをより深く知りたいです」、「震災・復興というキーワードからKPADの活動にも関係があると思い参加しました。どの事例も成功の鍵は人々の繋がりであり、災害が発生しても助け合える日ごろからの地域づくりに学生として関わりたいです」と感想があり、それぞれ大きな学びを得た様でした。

 

早くから地域連携機構という組織単位で地域連携事業に取り組んできた本学は、「産学連携による地域のブランド力向上」など、今後も魅力ある地域づくりに向けて大学という立場で連携を進めていきます。

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