2019.9.13卒業生 / 在学生・保護者 / 地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

広域ネットワーク防災訓練を実施しました

8月24日・25日、巨大地震などの大規模災害により、インターネット通信に障害が発生したことを想定した「第1回広域ネットワーク防災訓練」を、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)耐災害ICT研究センターと共催し、本学からは情報学群 福本 昌弘教授および研究室の学生7名ならびに今後、遠隔支援を検討している大学や民間企業から約30名が参加しました。

本訓練は、高知県中央東福祉保健所と自治体(南国市、香南市、香美市)を中心に行っている災害時の医療救護活動の訓練で明らかになった「名簿作成に手間取るため、受付に被災者がたまってしまう」「救護所のデータ集計のため、休む時間が確保できない」などの課題を、ネットワークや情報通信技術(ICT)を活用し、遠隔地で医療従事者のみならず住民も参画したボランティアによる支援で解決する方法を検討するため実施しました。

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24日に行われた救護所受付訓練では、冒頭に2017年11月26日に香美市で実施された災害救護訓練のシナリオを使用し、総合受付、一般医療受付、介護福祉受付の災害救護活動について学びました。
その後、(1)遠隔での電子ファイル化(2)遠隔地で総合受付のビデオ音声を聞きながらリアルタイム入力(3)NerveNet,ダイハードネットの環境構築(4)ネットワーク切断の4つの訓練を行いました。

(1)の遠隔での電子ファイル化訓練では、総合受付名簿をスマートフォンで撮影し、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の開発しているNerveNet,ダイハードネットを経由して、遠隔地(立命館大学)のボランティアにより入力されたテクストデータを返信する実験行い、1回目は28人のデータを22分、2回目は31人のデータを13分で入力・返信しました。

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(NerveNet環境構築訓練)

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(左:救護所受付訓練一般医療受付/右:遠隔地データ入力)

(2)の遠隔地で総合受付のビデオ音声を聞きながらのリアルタイム入力訓練では、総合受付の模様を遠隔地(永国寺キャンパス会議室、立命館大学、岩手県立大学)にSINET5を経由してビデオ配信し、被災者の発言を受付が復唱した中継音声から3人がリアルタイムで電子ファイルを入力する実験を行い、ノートPCでのキーボード入力、スマートフォンでのフリック入力とも可能であることを確認しました。

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(総合受付名簿配信)

翌日行われた検討会では、訓練ででた「写真の向きが見づらい」「係員を映すのではなく、訪問者を写してほしい」などの感想を踏まえ、「何を遠隔支援できるか、電子化できるか」について、「電子ファイル化されることを前提にした、総合受付の効率化」や「音声認識の活用」など具体的な議論を行いました。 

本訓練は今後も継続的に行い、災害時の遠隔地からのネットワーク・ICT技術を用いた被災地支援、ICT技術を用いた被災地の遠隔操作を行うボランティアコミュニティの形成等にむけ取り組んでまいります。

※SINET:Science Information NETwork (サイネット) 学術情報ネットワークは、日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII)が構築、運用している情報通信ネットワークです。
※NerveNet(ナーブネット):基地局同士が自動的に相互接続する機能を持ち、災害時に一部のルートで障害が発生しても直ちに別のルートに切り替え、通信を確保する無線マルチホップ技術を用いた分散ネットワークとアプリケーションです。

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