2020.1.20地域・一般 / 地域貢献 / 研究

「海外現地調査からみた環境問題」をテーマにイブニングセミナーを開催しました

1月15日、本学の地域・文化交流施設"Cross Square"で、地域連携機構が今年度最終回となるイブニングセミナーを開催し、高木 方隆教授(システム工学群)が「海外現地調査からみた環境問題」をテーマに講演を行い、地域の方々など約30名が参加しました。

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高木教授は、自身の専門である衛星リモートセンシングについて、日本の宇宙技術や人工衛星ひまわりで撮影した画像を用いて紹介した後、2018年に発生した西日本豪雨でなぜ大きな被害が発生したのかについて、航空写真とリモートセンシング技術により解説しました。まず、浸水被害の大きかった愛媛県大洲市について、1960年代に撮影した航空写真と浸水発生時の航空写真を比較し、人々が暮らす集落が浸水の危険性の低い里山から、生活利便性は高いが危険性も高い市街地に移ったことにより、人口は約13,000人減っているにも関わらず、多くの被害が出たことを紹介しました。続いて、高知県大豊町立川沿いの土砂崩れが発生した原因について、リモートセンシングを使って解析した結果を示しました。

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その後、話題を海外にうつし、砂漠化が進むモンゴルでの植生調査やネパールでの有用植物調査を行った際、現地での「自然を利用した人々の生活の営み」に感動したことを紹介しました。
約20年前に訪れたモンゴルでは、衛星写真と照らし合わせながら現地の山の形を目印に測定場所へ数台の車を使って移動し、食料である羊も現地で調達したことや、食事を作るための燃料は羊の糞を使ったことなど、約3週間の調査生活の苦労を語りました。

また、5年前に訪れたネパールでは、3,000メートル超える山の徒歩でしか行けない密林で、有用植物であるウバユリを発見したことや、薬草からアロマオイルを抽出したことを紹介しました。滞在中、現地の方々が、テントを建てる道具や部品を自然にある木材を使って製作し、稲の脱穀も手作業で行い、ご飯を炊くために太陽光を利用するなど、自給自足の生活を送っている姿を目の当たりにし、SDGsにもあげられている、エネルギーや働きがいのある人間らしい仕事について考える機会となったことを語りました。

最後に高木教授は「日本は、エネルギー自給率が低く化石燃料を輸入に頼っていること、食料自給率も低いのに食品ロスが多ことなど課題は山積みですが、まず私たちが取り組むべきことはゴミ問題である」と言及したうえで、海外での現地調査を通して、自然と自然をうまく利用し、可能な限りゴミをださない・二酸化炭素を排出しない生活が必要だと実感したことから、里山プロジェクトの着想に至ったことを説明しました。

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参加した高校生は「学校で香美市のエコについて自分たちに何ができるか考える機会があり、エコバックの利用や省エネなど、環境問題については意識していました。今後も、私たち一人一人がこういった活動を続けていくことの必要性を再認識しました。また、人々が浸水の危険性が高いことを知らず、利便性の高い土地に暮らし始めているという話を聞いたことがありました。今日のセミナーでは、高木先生が西日本豪雨で浸水被害が発生した集落を、航空写真を使って読みとられていたことに驚きました。私は、来年から高知工科大学に進学することが決まっています。建築物を建てる場所や空き家の活用にも、リモートセンシングの技術が活用できることを知り、勉強になりました」と感想を語ってくれました。

2020年度もイブニングセミナーを開催予定です。
詳細が決まり次第、ホームページでお知らせいたします。

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