2021.12. 1地域・一般 / 地域貢献 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

重山 陽一郎教授が「高知市種崎千松公園地区における津波防護堤防のデザイン」をテーマにイブニングセミナーに登壇

11月17日、本学地域連携機構主催のイブニングセミナーをオンラインで開催しました。 本セミナーは、本学の研究成果による地域貢献事例を皆様に紹介し、地域の未来をともに考え、議論することを目的としています。

今年度第4回目は、重山 陽一郎教授システム工学群)が「高知市種崎千松公園地区における津波防護堤防のデザイン」をテーマに講演を行い、テーマに関心のある方々にご参加いただきました。 
重山教授は、景観デザインを専門としており、新しい技術を用いた構造物の新しいデザインを提案しています。これまでも土木構造物の設計を行い、居心地のいい空間づくりで地域に貢献してきました。

★スライド2.jpg


セミナーの冒頭、これまで携わってきた「皇居周辺の道路」や、2015年に竣工し、水門としての機能と優れた景観を両立させたことが高く評価され『土木学会デザイン賞最優秀賞』『しまね景観賞大賞』を受賞した「天神川水門(島根県松江市)」のデザインについて紹介しました。その他、高知県内での事例として「とさでん交通(株)の系統番号化とバス路線図のデザイン」や、土佐清水市でのデマンドバス予約システムの開発など、土木構造物以外についても紹介しました。

★★天神川水門.jpg ★とさでんバス路線図.jpg
(写真1枚目:天神川水門/2枚目:とさでん交通(株)バス路線図)

続いて、2022年度に施工開始予定の「高知市種崎千松公園地区における津波防護堤防における景観デザイン」について解説しました。高知市種崎千松公園は、太平洋に面した海水浴場に隣接しており、市民の憩いの場として多くの方に利用されています。一方、ここを含む高知港海岸では地震津波対策事業が進められており、種崎千松公園と海水浴場の間にも津波防護堤防が建設される計画で、現在景観的にも優れた堤防を実現するための設計が進められています。

重山教授は、「高知港海岸景観・利便性等検討会」の委員として設計に参画し、堤防の計画段階から景観デザインの概念を取り入れました。コンセプトは堤防が面白くて楽しい公園としました。デザインの方針は5つで「堤防と公園を一体化」「高さを感じさせない」「単調な長さを感じさせない」「圧迫感・閉塞間を感じさせない」「身しょう者に優しい」です。
例えば、壁の前後に盛土、擁壁、階段、植栽などを設えて高さを低く見せることや、展望台のような丘を設けて長さを感じさせない、壁を歩けるようにして閉塞間を感じさせない設計をしました。
これにより、堤防が津波や高波の際に役立つだけでなく、公園施設の一部として日常的に利用者に喜ばれる場所となるようデザインしたことを解説しました。

模型_FP00417.jpg
(千松公園地区 津波防護堤防の模型)

最後に重山教授は「デザインとは統合的な作業で、美しさ・快適、構造、機能、施工、法令いくつかの条件を組み合わせなければならず、バランスをとることが必要となってきます。今後も適度なバランスと絶妙な配合のデザインめざしていきます」とセミナーを締めくくりました。

参加者からは「堤防を公園にすると、普段から地域の方が利用し、防災への意識の醸成や防災教育にも繋がると思いますが、その様な思考はデザインに入っているのでしょうか」「このような津波防護堤防は高知県内もしくは四国内では珍しいケースでしょうか」「夜の照明はどのような設備になるのでしょうか」などの質問が寄せられました。

セミナーの動画は地域連携機構のYouTubeに掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
次回のイブニングセミナーは、1月26日(水)18:00から繁桝 博昭教授(情報学群)が「VRによる知覚心理」をテーマに講演予定です。

RELATED POST

関連記事