2021.11.22卒業生 / 在学生・保護者 / 地域・一般 / 学群・大学院 / 研究

教育情報工学研究室が「ラーニングイノベーショングランプリ2021」で奨励賞を受賞

9月21日に発表された「ラーニングイノベーショングランプリ2021(主催:マイクロラーニングコンソシアム(mLC))」において、教育情報工学研究室(妻鳥 貴彦准教授)が「奨励賞」を受賞しました。

ラーニングイノベーショングランプリは、これまでにない学習・教育方法やスタイル、革新的なラーニングテクノロジーを発掘し、新たな学習・教育環境を世に広めることを目的としたコンペティションです。

本コンペティションは、学生と若手研究者を対象に、AR、VR、IoT、AI、ディープラーニング、デバイス、教育ビッグデータなど11のジャンルで募集されました。審査は、産業界から見た独創性・斬新性、社会的価値(a: 教育・学習に与えるインパクト,b: 発想スケールの大きさ,c: 実用化された際の波及効果)の2つの観点で行われ、33チームの応募の中から5チームに賞が授与されました。

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教育情報工学研究室は「LearningAnalytics のための学習・メンタリング履歴収集基盤の構築」のテーマで発表しました。
近年、教育現場でのICT化に伴い、Learning Management System(学習管理システム:LMS) が導入され、学習分析が行われるようになりました。本研究では、本学でも使用しているオープンソースのLMSであるMoodle 上で稼動するStoring and Treating the Experience of Learning for Learning Analytics(STELLA)※1とMentoring Log Recorder(MLR)※2を構築しました。

従来、本学の学習環境では、収集できる学習履歴がログイン・ログアウトした時間しかわからない、特定のアプリケーションに依存した資料の場合にOSやPC環境によって閲覧できない資料がある、学習者の行動に影響をあたえる指導者の助言や課題のチェックが考慮されていないなどの課題がありました。

そこで、STELLAとMLRをMoodle上に構築することで、授業中に指導者がもっているタブレットなどに助言や指導した内容などを入力し、指導者同士での共有が可能となり、授業内容や指導方法に反映することができるようになりました。また、対面授業や実習での指導履歴も学習履歴の国際標準規格であるxAPI 形式で蓄積でき、指導者とのやり取りで授業資料を閲覧するページの変化が分かり、指導の効果を示すことも可能となりました。これらの学習履歴を収集・分析することで、従来はそれぞれの教員の感覚的な部分で良い学習が判断されていたものが、その学習方法について、根拠を持って良し悪しを判断することにつながります。

コンペティションでは、対面授業等で残しづらい指導履歴を学習履歴とセットにして分析し、詳細な学習・教育効果を測定することが教育環境の改善につながると評価され、奨励賞を受賞しました。

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受賞を受けて代表の木河 龍臣さん(情報学群 4年)は「教育情報工学研究室の研究成果を評価していただいたことを大変嬉しく思います。妻鳥准教授をはじめ、研究室の皆様のご指導・ご協力に心より感謝申し上げます。応募にあたり、先輩方が残してくれた研究を調べてプレゼン資料や動画を作成したことはとても勉強になりました。 大学院進学後は、学習者も自身の学習履歴や指導履歴を確認できるような自己調整学習を支援する基盤を構築したいです」と喜びと今後の抱負を語りました。

妻鳥准教授は「このような栄えある賞をいただき光栄です。研究成果を残してくれた卒業生・修了生の貢献が評価されたことを嬉しく思うと同時に、これまでご支援くださった皆様に心より感謝申し上げます。研究室の学生には、10を聞いて20・30・50・100と広げていけるよう、様々なことに興味をもち、色々な人に話を聞いて世界を広げてほしいです。これからも学生たちと一緒に新しい生活様式でも対応可能な学習・教育の支援や改善方法について研究していきたいと思います」と語りました。

※1 STELLAとは、PDF 形式の資料をxAPI 形式で学習履歴を出力し、デジタルノート機能を持つWebアプリケーションです。
※2 MLRとは、対面指導を想定したメンタリング履歴を蓄積できるWebアプリケーションです。

・「ラーニングイノベーショングランプリ2021」の詳細はこちらから

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