2022.1.26地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

朴 啓彰客員教授が、高齢者ドライバーの安全運転能力をMRIで評価できる手法を見出しました

本学の朴 啓彰客員教授(地域連携機構 地域交通医学・社会脳研究室長高知検診クリニック脳ドックセンター長)、蓮花 一己教授(帝塚山大学)、本学の中川 善典教授(経済・マネジメント学群)、多田 昌裕准教授(近畿大学)らの研究グループが、高齢者ドライバーの安全運転能力をMRIで評価できる手法を見出しました。
本研究成果は、2022年1月25日、専門学術誌である「Frontiers in Aging Neuroscience」に"Aging brains degrade driving safety performances of the healthy elderly"というタイトルで掲載されました。

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朴客員教授は、脳ドックという日本独自の予防医学から創出される健常脳のビックデータから「交通脳データベース」という新たな概念を提起し、健康長寿と運転寿命を共に延ばして、超高齢社会を活性化する研究を行っています。

本論文の中で、認知症でない健常な高齢ドライバーを90名対象に、自動車教習所の走行コース上での運転挙動を調べ、MRI検査で加齢脳(脳萎縮や白質病変)が進んでいるグループはそうでないグループとの比較において、安全運転能力が低下しているという結果を導きました。
本研究のポイントとして、普通に運転している高齢ドライバーにMRI検査をすることで、危険運転する高齢者を前もって選別できるという意義があります。

加齢脳の脳萎縮や白質病変は、生活習慣や生活習慣病のケアでその進行を予防することができます。つまり、適性飲酒・禁煙・メタボ対策・厳格な血圧管理などによって加齢脳が進まないようにすることで、安全運転寿命を延ばすことが可能になります。脳の健康管理が高齢ドライバーの危険運転を防止することにつながる可能性が示されました。

今後の展開として、本研究成果を踏まえて、健常者を対象とする脳ドック診療の中で加齢脳の進んだ方に安全運転指導やカウンセリングを行っていく予定です。また、とさでん交通株式会社と連携し、高齢ドライバーの脳健診を行うことで、運転中の脳卒中(くも膜下出血など)のみならず、危険運転行動のリスクを検知・予防する取り組みを開始する予定です。

全国に先行して高齢化が進む高知県にとって、高齢者の移動(モビリティ)は県社会活動の必須要素であり、その対策は最喫緊課題になっています。
本学では、持続的な地域貢献をめざしており、多彩な分野の先端研究を地域に生かし、社会の課題を解決すべく日夜研究を重ねています。

論文はオープンアクセスとなっており、こちらからご覧いただけます。

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