2022.12.23在学生・保護者 / 地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

地域連携カフェ 特別編「台風を操る!?ー未来の技術「気象制御」は何をもたらす?」をテーマに開催しました

12月8日、オーテピア(高知市)にて地域連携カフェ 特別編(※)として、ムーンショット目標8研究開発プロジェクト「社会的意思決定を支援する気象―社会結合系の制御理論」主催のワークショップ「台風を操る!?ー未来の技術「気象制御」は何をもたらす?」を開催し、高校生・大学生・防災に携わる自治体の職員や地域の皆様約60名の参加がありました。

地域連携機構では、県や地方自治体等の公共政策に関わっている方や、地域活性化に活躍されている学内外の方を話題提供者としてお招きし、参加者と気軽に意見交換ができる場をつくろうと、平成23年より「地域連携カフェ」を開催しています。今回は特別編として、2名の講師の方からの情報提供をもとに、さまざまな立場の人が、どんなふうにこの新しい技術を捉えるのかを、参加者同士の自由な対話によって意見交換する場としました。

本ワークショップを主催するムーンショット目標8研究開発プロジェクト「社会的意思決定を支援する気象―社会結合系の制御理論」は今年6月にスタートし、2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現することをめざし、従来の「予測」を中心とした気象研究に「制御」の概念を取り入れた「気象制御」を切り拓く新しい研究に取り組んでいます。

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ワークショップでは、初めに2名の講師が講演を行いました。
まず「高知の沿岸防災」をテーマに佐藤 愼司教授(システム工学群 兼 地域連携機構統合減災マネジメント研究室室長)が講演しました。
高知県は台風をはじめ、高潮・豪雨・地震といった多くの災害の危険性があり、これまでに経験した災害の実例(1946年昭和南海地震津波、1970年台風10号による高潮、1998年98豪雨、2018年西日本豪雨、等)を紹介しました。その上で、防災の取り組みとして、地震に備える三重防護や、大雨に備える水門・排水ポンプ・雨水貯留施設といったハード面の防災と、自治体等が作成するハザードマップのようなソフト面の防災について解説しました。

次に「水害予測技術100年の進歩と気象制御への挑戦」をテーマに澤田 洋平准教授(東京大学大学院工学系研究科)が講演しました。
天気予報や水害予測が提案されてから100年が経過し、コンピュータの登場により数値での予報が可能になりました。現在では、コンピュータによるシュミレーションに、静止衛星による観測データを統合してより正確な天気の状態を求め、その状態を元にシュミレーションで未来を予測するデータサイエンスの技術も加わり、より高度な数値予報が進展し、社会インフラとしての地位を確立しつつあります。その中でもゲリラ豪雨のような極端な気象には、アンサンブル予測(たくさんの異なる設定のシュミレーション群で予測する手法)が使用されています。このような技術の発展により、気象を技術的にコントロールできる「気象制御」というアイデアが生まれています。
現在の研究ではどのような方法で「気象制御」を行うことができるのか、実現は可能なのかについてはまだ不明な段階ですが、実現した場合、地域間・国家間で利害が対立しない制御が可能なのか、社会にとって望ましい制御とは何かをあらかじめ議論しておく必要があることについて解説されました。

講演の後、参加者は松山 桃世准教授(東京大学生産技術研究所)の提案により、4つのグループにわかれて、他人の目を気にせずさまざまな立場の人が自由な意見を述べる「哲学対話」による対話を行いました。対話では、「台風を制御することについて」などをテーマに、参加者が自由に考えを語り、立場によって全く異なる意見が出る場面も見られました。

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