2023.1.11在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

松田 六花さんが公共選択学会で「VAAは有権者の投票を促すか」をテーマに発表

12月3日~4日、名古屋市立大学で開催された「公共選択学会第26回大会」で、経済・マネジメント学群4年の松田 六花さん(高知県立高知小津高等学校出身)が、研究成果をポスターで報告しました。


★松田さんIMG_2236.jpg ★松田さん&矢内先生IMG_8744.jpg

松田さんは、計量政治経済研究室(指導教員:矢内 勇生准教授)で統計分析について学んでいます。

公共選択学会では「VAAは有権者の投票を促すか」をテーマに発表しました。
投票支援アプリ (Voting Advice Application; VAA) は、複数の政策に対する好みを回答することで、自分の考えに近い候補者や政党を教えてくれるアプリです。VAA が早期に普及した欧州の研究では、VAA が有権者の選挙に対する関心を高め、投票参加を促すことが示されています。しかし、比較的最近になって VAA が普及し始めた日本を対象とする研究の数は少なく、日本において VAA がどのような効果をもつかは未だ解明されていません。

松田さんと矢内准教授は、2022年に実施された参院選を対象に、VAA が投票率を上げるかどうかを検証しました。VAA の利用と投票参加の間には複数の交絡因子があり、観察データでそれらを統制することは困難です。そこで参院選前後にウェブ上でパネル調査を実施し、サーベイ実験を行いました。選挙前の調査では、処置群と対照群に回答者を無作為に割り付け、処置群のみにVAA を利用してもらいました。選挙後の調査では、投票参加についての回答を集めました。実験データを分析した結果、VAA の利用が投票参加を促す効果は発見できず、若者や政党支持なし層に対象を限定しても VAA の効果は見られませんでした。このことから、本研究では「投票率を上げる」という目的に限れば、VAA が有効な手段とはならない可能性を示唆しました。

矢内准教授は「松田さんは研究室配属されて間もない時から1年後に実施される参院選での実験を見据えて研究計画を練り、仮説をたてて取り組んでいました。主体的に考え行動することができ、統計分析のスキルは非常に高く、大学院レベルの参考資料を渡しても読み解く力がある優秀な学生です。経済系の学会で学部生が学会発表することはとても珍しいですが、しっかりと丁寧に解説できていて頼もしかったです」と語りました。

松田さんは「高知工科大学は経済系の実験環境が整っているので、その特長をいかした研究をしたいと思い、本テーマの着想にいたりました。初めての学会参加で緊張しましたが、VAAで出た結果が投票する政党にどう影響するかなどのメカニズムを調査するとより面白いというアドバイスをいただき勉強になりました。同じ研究分野の方々と様々な議論できたことは貴重な経験となりました。このような機会をくださった矢内先生に感謝申し上げます」と語りました。

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