2023.2. 7在学生・保護者 / 地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

西内准教授が「これからの地方都市のための道路交通と公共交通の研究~こどもITSや地域公共交通に着目して~」をテーマにイブニングセミナーに登壇

1月25日、本学地域連携機構主催のイブニングセミナーをオンラインで開催しました。 本セミナーは、本学の研究成果による地域貢献事例を皆様に紹介し、地域の未来をともに考え、議論することを目的としています。

今年度第5回目は、西内 裕晶准教授(地域連携機構 地域交通研究室/システム工学群 都市・交通計画研究室)が「これからの地方都市のための道路交通と公共交通の研究~こどもITSや地域公共交通に着目して~」をテーマに講演しました。

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(写真右:西内 裕晶准教授)

セミナーの冒頭、西内准教授は、日本の人口減少や高齢化について触れ、将来の若い世代に安心・安全な交通空間を整備することの必要性を説明しました。そのための研究として、まず「こどもITS研究技術による道路の交通機能網の再編」について解説しました。
ITS(Intelligent Transport Systems)とは、最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、交通事故、渋滞等といった道路交通問題の解決を目的に構築する新しい交通システムのことで、実用化が進むものではVICS(道路交通情報通信システム)やETC(電子料金収受システム)が挙げられます。西内准教授は、こどもの通学の位置情報から行動モデルを構築し、安全な登下校を実現する「こどもITS技術」の研究を進めるためには、区間や時間帯によって車両の通行を規制する仕組み作りが重要であると解説しました。

続いて、柔軟な公共交通サービスの導入可能性に関する研究を紹介しました。人口減少や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、公共交通機関の利用が落ち込む中、打開策として複数の公共交通機関で利用できる定期券の発行や、高知県の交通系ICカード「ですか」を利用したワンコイン企画等の取り組みがありますが、このような施策によって利用者の行動がどのように変化したのか、どの程度の効果を得られたのか検証する必要があります。西内准教授は、過去の交通行動データの解析のほか、まだ提供されていない公共交通サービスについてアンケート調査を行い、提供するサービスによって利用頻度に変化があるのかを調査したことを報告しました。

最後に、高知県嶺北地域公共交通協議会が実際に取り組む、若い世代に着目した交通の利便性の向上に関する事例を紹介しました。「公共交通利用モニター」の活動では、嶺北地域内を発着する公共交通の運賃を全額助成するかわりに、SNSで公共交通を利用した感想などの発信を行ってもらいます。利用者が発信することで、嶺北地域の公共交通の認知度向上につながっています。また、「嶺北の公共交通マップ」の活動では、嶺北高校の学生が、バス停に近い場所を中心に、行って良かったと思う目的地を紹介しています。このような取り組みにより、若い世代の利用しやすい公共交通のあり方を考えていくことが必要であると解説しました。

参加者からは「世界でこのような取り組みはどのようなものがありますか」「カーナビに通学中の子どもの多さを表示することはできないのか」といった質問がよせられました。

セミナーの動画は地域連携機構のYouTubeに掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

2023年度もイブニングセミナーを開催予定です。詳細が決まり次第、ホームページでお知らせいたします。

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