2023.6.27在学生・保護者 / 学生生活 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

笹岡 南斗さんが日本写真測量学会で学術講演会論文賞を受賞

5月18日~19日、東京大学生産技術研究所で開催された「日本写真測量学会 令和5年度年次学術講演会」において、笹岡 南斗さん(大学院修士課程社会システム工学コース 1年・高知県立高知工業高等学校出身/指導教員:国土情報処理工学研究室 高木 方隆教授)が学術講演会論文賞を受賞しました。

同学会は、写真測量とリモートセンシングを用いた測量学に関する研究と技術開発を中心として、空間情報の計測と利用に関わる科学技術の進展と普及を図ることにより、学術文化と社会の発展に寄与することを目的としています。学術講演論文賞は、学術発展に貢献した30歳未満の若手会員に授与しており、令和5年度は25名の中から3名が表彰されました。

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受賞タイトルは、「フラクタル次元による森林構造解析」です。

里山など人の手によって管理された森林は動植物の生息域としても重要な役割を果たしています。しかし、近年の人口減少や林業の衰退によって森林の管理が十分に行われず、生態環境に影響がでています。また、森林管理の必要性は認識されているものの、森林の管理状態が適正であるかを評価する指標は確立されていません。
そこで笹岡さんは、ドローンを用いたレーザー測量によって得られた三次元点群データによりフラクタル次元(※)を求め、森林構造評価の指標となるかを検討しました。研究に用いた森林は、高知県香美市内の放置林、人工林、二次林(単層林)、二次林(複層林)です。森林構造のフラクタル次元は、点群データを画像化し、ボックスカウンティング法と呼ばれる手法を用いて求めました。ただ、当初検討したボクセルによる解析結果では、平地部と森林部で同等の次元を示したことから、点群データを断面画像化し、さらに地形による影響を除外する目的でフラット化するなどの工夫を行いました。その結果、放置林や人工林などそれぞれの森林での特徴を示しており、森林構造の解析手法としてフラクタル解析が有用であることを確認しました。
今後、下層植生や動物、樹種、日照条件などとの相関も検証し、様々な要素を考慮した森林解析が進めば、森林管理の指標となることが期待されます。

受賞を受け、笹岡さんは「初めての学会発表でこのような栄えある賞をいただくことができ、光栄です。ご指導くださった高木先生や村井先生、研究室のメンバーに心より感謝申し上げます。研究室でフラクタル次元を使用した森林解析をするのは私が初めてで、フラクタル次元の概念を理解するまでに時間を要しました。3次元解析で結果がでなかった時間が長く焦りましたが、論文としてまとめることができ達成感を感じています。次は、森林と海の関係性を調べるため、河川の砂の流出量や地下水量の解析に取り組みたいです」と語りました。

(※)フラクタルとは、全体を成す図形と、その図形の一部が自己相似性をもつ幾何学的な構造のこと。分岐した枝葉の一つひとつが全体像と同じであるシダはその代表例。その自己相似性や複雑さを実数として表現したものがフラクタル次元。

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