2023.11. 8在学生・保護者 / 学群・大学院 / 研究 / 研究者・企業

平塚 丘将さんが第65次南極地域観測隊(夏隊)の同行者に選出

6月27日、政府の南極地域観測統合推進本部は、第65次南極地域観測隊等を発表し、平塚 丘将さん(大学院博士後期課程 基盤工学コース 3年)が夏隊の研究観測(萌芽研究観測)の同行者(※1)として参加することが決定しました。学生の南極観測隊同行は2年連続となります。

平塚さんは、「南極観測用ペネトレータの開発と白瀬氷河および周辺域での集中観測(萌芽研究観測)」の代表、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)の田中 智教授の研究補助として同行します。このプロジェクトは、南極などの観測システムを設置するには障害や危険が数多く存在している地域において、自然現象を観測するシステムを効率的かつ経済的に整備するため、「観測できる場所での観測」ではなく、「観測したい場所での観測」を実現するための技術開発を目的としています。また、南極での観測システムが整えば、氷河における崩落の規模などから気候変動の現状を把握することにもつながります。

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(写真:左 JAXA宇宙科学研究所(ISAS)の田中 智教授、右 平塚 丘将さん)

平塚さんは、宇宙地球探査システム研究室 (指導教員:山本 真行教授)に所属し、小型気球実験装置の開発・製作に学士課程時から取り組んできました。南極への参画が決定後は派遣準備作業に取り組む一方、田中教授のもとペネトレータ内部の電子機器の開発、特にインフラサウンド(※2)センサー搭載部分の製作を手掛けています。

プロジェクト2年度目となる今回、平塚さんが南極で携わるのは、地震計などを搭載した「ペネトレータ」と呼ばれる先端の尖った貫入装置(直径10センチ、全長60センチ、重さ約10キロ)を投下する実験の補助。ペネトレータ内部の電子回路の一部の開発・製作、実験時のドローン運用サポート、写真撮影、ペネトレータが故障した時の修理などの業務を担います。

山本教授は、「平塚さんのモノを作るロジックは南極でも活かせると思い、推薦しました。まずは、自分に与えられた役割を果たして無事に帰ってきて欲しいです。そしてトラブルが発生した際には、田中先生をサポートして解決し、より良い機器にアップグレードしてくれることを期待しています。また、他の研究チームの手伝いをする際にも、頼りにされる存在になってほしいです」と博士学生としての期待を語りました。

平塚さんは、「田中先生から南極行きの話をいただいたのは昨年10月頃。人生で何度もあることではないのでチャレンジしてみようと思いました。寒い過酷な環境での挑戦になるので、自分が作った機器がちゃんと動くか不安はありますが、自分が得意とする組み込み技術で少しでも貢献したいです。あと、南極の景色、土地も楽しみにしています。極地でのエンジニアリングはとても貴重な経験になりますのでキャリアアップをして、将来は、理学の研究者が取り組む観測に対して工学でサポートする研究者になりたいです」と決意を語りました。

平塚さんが所属する夏隊は、11月24日に日本を出発し、フリーマントル(オーストラリア)で南極観測船「しらせ」に乗船、昭和基地へ向かいます。南極での行動日数は99日間で、来年3月20日に帰国する予定です。

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(写真:昨年の実験風景 本学の西川泰弘助教と山本耕大さん)

※1 技術者、大学院学生、報道関係者、教育関係者など、観測事業の発展や国民の理解増進等のために観測隊に同行する者
※2 人間の耳には聞こえない周波数 20 [Hz]以下の超低周波音で、周波数が低いため長距離伝搬できる特徴がある。火山噴火、地震、津波、落雷、土砂崩れ、大規模爆発などの災害をもたらすような事象によって発生することが知られており、これらをリモートセンシングすることで、災害の早期探知や規模解析を行うなど、減災に活用できると考えられる。

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