2023.10. 6地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

王 碩玉教授らが「建設現場で活躍する資材の無人搬送ロボットの開発」をテーマに地域連携セミナーで講演しました

9月20日、地域連携機構主催の「地域連携セミナー2023」をハイブリッド開催し、建設業界の方々など約90名にご参加いただきました。
本セミナーは、本学の専門性に根ざした地域貢献事例を紹介し、地域の未来を地域の方々とともに考え、議論することを目的に2018年度から開催しています。

本年度3回目となる今回は、有限会社サット・システムズ 代表取締役 猪野 真吾氏、前田建設工業株式会社 ICI総合センター テクノロジーセンター長 安井 利彰氏を迎え、本学 システム工学群 知能ロボティクス研究室の王 碩玉教授と共に実施した「建設現場で活躍する資材の無人搬送ロボットの開発」をテーマに講演しました。

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建設現場では、生産年齢人口の減少による人手不足を受け、生産性の向上が課題となっています。中でも、重労働とされる資機材の搬送は1日の作業時間の約20%を占め、1トン近い荷物を人が運んでいます。また、工事の進捗に合わせて現場の状況が日々変化することに加え、運ぶ荷物の形や大きさの違い、段差や障害物といった、建設現場固有の課題により自動搬送の実用化が遅れています。

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これらの課題を解決するため、3機関は無人搬送ロボットの開発を2018年にスタート。
セミナーでは、建設現場で試行するまでの技術確立の経緯や開発秘話、産学連携のメリット、最新の研究成果や今後の展開などについて紹介しました。

開発にあたり、現場のニーズを熟知した前田建設工業株式会社は複雑な作業過程を具体的な課題として抽出を、有限会社サット・システムズは本学との20年来の共同研究で培ったロボットに関する要素技術と知見を生かしたロボット機能の設計と知能化アルゴリズムを、そして、本学は制御工学から見た自律化の実現を、それぞれ担当。実証実験では、刻々と変化する建設現場で臨機応変に対応し、エレベータと連動して資材置き場から指定の階・場所への資材搬送に成功したことを、動画を交えながら解説しました。

王教授は「実証実験で多くの課題が見つかった。目標とする完全自動化をめざして安全性と能率を兼ね備えた自動搬送ロボットの開発に、これから3年かけて取り組みたい」と述べ、セミナーを締めくくりました。

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(写真1枚目:無人搬送ロボット/旋回半径が大きくならない走行性能、ある程度の段差を乗り越える安定性、長尺にも対応できる前後開放、資材自体が死角にならないセンサーやカメラの配置等を考慮して、資材を積載した台車を左右からホールドしコントロールする「門型」構造が採用された)

参加者からは、「現時点の無人搬送ロボットの実利用度はどのくらい?」「門型はマストな構造?」といった質問や、「失敗事例や工夫した点が聞けたので勉強になった」「これからの労働力不足解決に向けた大きなヒントになると思う」「大学で建築・建設系のことについて学びたいと思って参加した。相対距離を考えて物を避けたり、重い物を運ぶうえでの門型構造の話が興味深かった」「思っていた以上に進んでいると実感した。机上ではなく現場で試行錯誤しながらの取り組みは工科大ならでは」といった感想が寄せられました。

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セミナーの内容は地域連携機構のYouTubeにてご覧いただけます。

次回は、11月15日(水)「南海トラフ巨大地震に備えた安全で確実な医療情報ネットークの確立」をテーマに、電子カルテバックアップ関係機関者と情報学群 福本 昌弘教授が講演いたします。

セミナーのチラシはこちらから

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