2025.5.15地域・一般 / 地域貢献 / 研究 / 研究者・企業

―高知の高校生へ最高の知を― 高高高知講演会を開催

4月26日、永国寺キャンパスにて、「高高高知講演会」を開催しました。

知の校生に最を」と銘打った本講演会は、優れた研究者との交流を通じて、高知の高校生たちが、高知県、日本、さらには世界での活躍を志すきっかけとなることを目指して、地域イノベーション共創機構(※)が企画したものです。

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当日は、100名を超える高校生をはじめ、中学生や大学生など高知県の様々な地域から総計220名もの方々に聴講いただきました。

第1回となる今回、講師としてお招きしたのは、ニュートリノに質量があることを発見して2015年にノーベル物理学賞を受賞された、ニュートリノ物理学と重力波宇宙物理学を専門とする東京大学卓越教授、梶田 隆章氏です。

講演のテーマは「科学の楽しさ ~私の経験から~」。
高校生の頃、弓道部の活動に明け暮れ、文理選択では、漠然とした物理学への興味から理系を選択した自身の経験を紹介。いっそう研究にのめりこんだのは大学院時代からと話します。東京大学 大学院にて、恩師 故・小柴 昌俊氏(東京大学 特別栄誉教授)のもと、岐阜県の地下1000mにあるニュートリノ観測装置カミオカンデの開発と実験に従事されました。そこで「自分の仕事が何かを生み出して物理学の発展に貢献していると思うと、やりがいを強く感じた」ことが研究者をめざすきっかけになったといいます。

その後、超新星爆発によるニュートリノの観測に成功し2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴氏のもとでの研究を通じて、「人とは違うユニークな発想を持つこと」と「先を見る目の大切さ」を学んだのだそう。
そして、カミオカンデをアップグレードしたスーパーカミオカンデの建設に携わり、そのデータからニュートリノ振動を発見しニュートリノが質量をもつことを証明、ノーベル物理学賞を受賞されました。
さらに現在は、日本が神岡に建設した重力波観測装置KAGRAの研究代表者として活躍されています。

自身の研究の変遷を振り返りながら、「自然科学は人類の知の地平線を広げるもの。世界中の多くの人が協力して、自然の神秘を少しずつ解き明かしていく仕事だと思っています。ここにいる皆さんにも科学に興味を持ってもらって、ぜひ科学者になってほしいと思います」との高校生たちへメッセージで、講演を締めくくりました。

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講演後は、梶田氏と学生時代からつながりのある須藤 靖特任教授がファシリテータとなって、中高校生・大学生との交流会が行なわれました。

「異なるニュートリノの種類はどうやって区別できるのか」「国境を超えて大人数が参加する国際共同研究チームをまとめるために意識していることは」「自分も科学者になりたいと考えているが、結果が出るまでには何年もかかるため悩むこともある。未来のビジョンをどのように描いていけばよいか」など、時間いっぱいまで数多くの質問が絶えず、その一つ一つに梶田氏は柔和な笑顔で丁寧に答えていました。

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「高高高知講演会」は、今後も定期的なシリーズとして開催する予定です。
次回の詳細が決まりましたら、本学HPにてご案内します。

※ 地域イノベーション共創機構
高知県をはじめとする地方が抱える様々な課題に対して、本学の専門性を活かして、地域の方々とともに地域イノベーションを創出し、共に対応していくことをめざして、これまでの地域連携機構を改組し、2025年4月に創設。「産業の共創」「専門人材の共創」「インフラの共創」「自然との共創」の4つの共創をめざしています。
今回は、そのうちの、STEAM人材(科学・技術・英語・芸術・数学 人材)やグローバル人材の育成をめざす「専門人材の共創」の取り組みの一環として開催されました。

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